外
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「侵入だ!!」
声が割れる。
観覧席が崩れるように動く。
悲鳴。
足音。
怒号。
「下がれ! 一般は退避だ!」
教官の声。
でも、統制が取れていない。
「……ちっ」
息を吐く。
うるさい。
でも。
頭の中だけ、妙に静かだ。
「エイゼン!」
グリード。
血を流したまま、立っている。
歯を見せて笑う。
「外だな」
「みたいっすね」
軽く返す。
その横。
レオンが剣を払う。
光の中で、刃にわずかな色が揺れる。
無駄のない動き。
金の髪が光を弾く。
場違いなほど、整っている。
「行くぞ」
迷いがない。
その一言で、空気が締まる。
「おい、マジで行くのかよ」
グリードが笑う。
「当たり前だ」
レオンは止まらない。
その奥。
カイゼル。
黒髪。
表情がない。
ただ、外を見ている。
すでに。
意識は、こっちにない。
「……」
一歩。
もう動いてる。
「……はぁ」
息を吐く。
ほんと。
そういう連中だよな。
「リシェル」
振り向く。
柔らかな金色の髪が、少し乱れている。
呼吸は浅い。
それでも、目は落ちていない。
「……行くの?」
「どうします」
聞き返す。
一瞬。
迷う。
ほんの一瞬だけ。
「……行く」
小さく。
でも、はっきり。
「回復、回せる?」
「無理しなければ」
「無理するでしょ」
「するね」
少しだけ、笑う。
――大丈夫だな。
そのとき。
「……」
視線。
石柱の影。
ケッヒル。
腕を組んだまま、動かない。
目だけが、こっちを見る。
「行きます」
小さく言う。
返事はない。
ただ。
ほんのわずか。
頷く。
それだけで、十分だった。
足を踏み出す。
崩れた入口を抜ける。
外。
空気が違う。
土の匂い。
煙。
遠くで、何かが燃えている。
「……うわ」
グリードが呟く。
外壁の向こう。
人が倒れている。
兵士たち。
「マジかよ……」
さっきまでの試験場とは、別の場所だ。
「来るぞ」
レオン。
その瞬間。
影が動く。
屋根の上。
黒。
東の剣士じゃない。
もっと雑だ。
「……誰だよ」
答えはない。
降りてくる。
速い。
荒い。
「ちっ」
踏み込む。
ズラす。
崩す。
――間に合う。
刃が触れる。
重い。
「……違うな」
さっきまでと。
動きが違う。
雑だ。
でも。
「マジで倒しに来てるだろ」
そのまま。
踏み込む。
「――フィネア」
ザンッ――!!
斬る。
手応えが、変わる。
――初めてだ。
はっきりと。
「……っ」
息が詰まる。
今までと、違う。
重さが、違う。
「エイゼン!」
リシェルの声。
「後ろ!」
振り向く。
もう一体。
来ている。
「……はは」
笑う。
なんだよ。
結局。
やること、同じじゃねえか。
「めんどくせえな」
でも。
足は止まらない。
「……行くしかねえか」
踏み込む。
外。
煙の向こう。
さらに奥。
――まだ、いる。
「……来いよ」
小さく呟く。
もう。
試験じゃない。
戦場だ。
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