異質
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踏み込む。
ズラす。
崩す。
刃が触れる。
押し切らない。
「――フィネア」
ザンッ――!!
斜めに切り上げる。
空気ごと裂ける。
双剣の男が反応する。
速い。
正確。
だが――
ほんの一瞬。
遅れる。
「っ……!」
受ける。
間に合っている。
なのに。
体勢が流れる。
刃は防いでいる。
だが、止めきれていない。
「……」
双剣の男が、わずかに距離を取る。
目が変わる。
その横。
女剣士の足が、止まる。
ほんの一瞬。
視線が、刃の軌道を追う。
「……今の」
言い切らない。
次の瞬間には、もう動いている。
「……」
息を吐く。
わかってない。
でも。
“何かが違う”のは伝わってる。
なら――
踏み込む。
今度は、自分から崩す。
「フィネア!!」
ザンッ――!!
さっきより深く。
空気が裂ける。
双剣の男が、踏みとどまる。
だが。
わずかに、ズレる。
「っ……!」
今度は完全に受けている。
それでも。
止まりきらない。
女剣士の踏み込みが、わずかに遅れる。
一瞬。
連携が、途切れる。
「そこ」
踏み込む。
――ドォンッ!!
衝撃。
地面が揺れる。
「……は?」
視線が逸れる。
中央。
カイゼルとシン。
ぶつかっている。
一撃ごとに、空気が沈む。
「……なんだよ、あれ」
思わず漏れる。
そのとき。
――ゴォン……
鐘の音。
重い。
低い。
「……止まれ!」
教官の声。
だが――
止まらない。
ギィンッ!!
もう一撃。
「……おい」
誰かが呟く。
空気が張り詰める。
東の剣士も。
カイゼルも。
誰も、引かない。
「……おかしいだろ」
小さく出る。
これは。
模擬戦じゃない。
終わらせる気が、ない。
その瞬間。
ドォンッ!!
外から、衝撃。
地面が揺れる。
観覧席がざわめく。
「何だ!?」
「今の……!」
もう一度。
ドォンッ!!
壁の向こう。
煙。
叫び声。
「侵入だ!!」
その声で。
空気が、切り替わる。
「……やっぱりかよ」
息を吐く。
剣を握る。
さっきまでと同じはずなのに。
重さが違う。
「……行くしかねえな」
足を踏み出す。
もう。
止められない。
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