崩し
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煙が流れる。
風が、低い。
「下がるな!!」
兵士の怒号。
でも、止まらない。
押されている。
完全に。
「……マジかよ。数、多すぎだろ」
グリードが吐き捨てる。
息が荒い。
それでも、立っている。
「崩されているな」
レオンが短く言う。
前線。
ヴァルクレインの兵が、押し込まれている。
一人一人は弱くない。
剣は通じている。
だが――
なんだこれ。
首都の兵か、これで。
「連携が、雑すぎる」
思わず漏れる。
東の剣とは違う。
整っていない。
荒い。
噛み合っていない。
だから――
崩れる。
「……めんどくせえな」
でも。
「止めるしかねえか」
踏み込む。
ズラす。
一人。
もう一人。
刃が触れる。
重い。
でも――
「遅い」
ズレる。
一瞬で。
「っ!?」
“敵”が崩れる。
隣の兵士が、息を呑む。
「……今の」
聞いてない。
もう次。
踏み込む。
「フィネア!!」
ザンッ――!!
一閃。
空気が裂ける。
目の前の一人が、大きく崩れる。
後ろ。
もう一人。
巻き込まれる。
「……は?」
誰かの声。
止まる。
一瞬。
「……繋がる」
ぽつりと出る。
見える。
全部じゃない。
でも。
「……ここだろ」
踏み込む。
ズラす。
崩す。
一人。
二人。
三人。
流れが変わる。
「前、出ろ!!」
思わず叫ぶ。
「今なら押せる!」
一瞬。
兵士が止まる。
でも。
「……おお!」
誰かが応じる。
前に出る。
流れが、一気に変わる。
「ははっ!」
グリードが笑う。
「お前、なんだそれ!」
「知らねえっすよ」
ほんとにな。
でも。
「……悪くねえ」
レオンが前に出る。
その剣は、まっすぐだ。
「合わせる」
短く。
それだけで、通じる。
「行くぞ」
踏み込む。
今度は。
一人じゃない。
「フィネア!!」
ザンッ――!!
レオンの剣が重なる。
一瞬。
空気が裂ける。
二人。
まとめて崩れる。
「……っ!」
息が揃う。
「今の……」
リシェルが呟く。
「繋がってる」
「たまたまっすよ」
でも。
違う。
わかってる。
「……使えるな」
レオンが言う。
珍しく。
少しだけ。
口元が緩む。
そのとき。
――ゴォンッ!!
また、衝撃。
今度は、近い。
「……まだ続くのかよ」
振り向く。
煙の向こう。
一人、出てくる。
動きが、整っている。
「……さっきまでと違うな」
グリードの笑みが消える。
「……なんだ、あれ」
見るからに嫌な感じだ。
やめてくれ、もう。
「……来る」
レオン。
一歩、前へ。
その横。
カイゼル。
無言で、剣を構える。
空気が変わる。
「……はぁ」
息を吐く。
「……めんどくせえな」
だけど。
相手が誰だろうと
やるしかねぇ。
足を踏み出す。
――来い。
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