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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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届かない

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

「――次」


名前が呼ばれる。


「レオン・ヴァルハルト」



ざわっ――


空気が揺れる。



「来たな」


グリードが低く言う。



「……ああ」


俺も目を離さない。



レオンが前に出る。


迷いがない。


いつも通り。


ブレてない。



「対――」



東の剣士。


シンじゃない。


でも。


“同じ側”のやつ。



「……」



静かだ。


会場全体が。


さっきのカイゼルの試合の余韻。


まだ残ってる。



「始め」



――速い。


レオンが踏み込む。


先手。


迷いなし。



カンッ!!



重い音。


ぶつかる。



互角。


いや。



「……押してる」


グリードが言う。



その通り。


レオンの剣。


強い。


正確。


無駄がない。


東の剣士を、押してる。



「いける……!」


思わず呟く。



このまま――



「……いや」


違う。



次の瞬間。



ズレる。


ほんの少し。


レオンの剣が。



「っ!?」



カンッ!!



弾かれる。


体勢が崩れる。



「……なに?」



おかしい。


さっきまで押してたのに。



「……合わせられてる」



レオンの動き。


読まれてる。



いや。


“固定されてる”



「……っ」



レオンも気づいたはずだ。


でも。


止まらない。


止まれない。



踏み込む。



カンッ!!



受けられる。


返される。


速い。



「くっ……!」


初めて、声が漏れる。


レオンから。



「……」



静かに。


確実に。


削られてる。



「……やばい」


グリードが呟く。



俺も同じだ。


嫌な感じがする。



「っ!」



レオンが踏み込む。


強引に崩しに行く。



その瞬間。



スッ――



入られる。


最短で。



「……っ!!」



カンッ!!



弾く。


でも。


遅い。



一瞬。


足が止まる。



そこに。



「――」



入る。


止まる。


首元。



終わり。



「……そこまで」


静かに告げられる。



……負けた。



「……」



レオンが動かない。


そのまま。


数秒。



「……はぁ」



ゆっくり息を吐く。


剣を下ろす。



「完敗だ」



あっさり。


でも。


悔しさは隠せてない。



「……」



戻ってくる。


こっちへ。



「……どうでした」


思わず聞く。



レオンが止まる。


少しだけ考える。



「……強い」


それだけ。



「だが」


一瞬だけ、目が鋭くなる。


「届かないわけじゃない」



……は?



「どこがっすか」


思わず出る。



「……」



レオンが、俺を見る。


まっすぐ。



「お前なら」


それだけ言う。



は?



「いやいやいや」


思わず笑う。


「無理っすよ」



「そうか?」


グリードが横から言う。


「さっきの、お前ならもう少しやれただろ」



……やめろ。


そういうの。



「……」



言葉が出ない。



でも。


頭の中で。


さっきの動きが、再生される。


レオンの剣。


崩された瞬間。



あれは。


「……変わらなかったからか」


ぽつりと出る。



「……」


レオンが、わずかに頷く。


「固定される」


「だから、合わせられる」



……またそれか。


リシェルの言葉。


重なる。



「……っ」



手を握る。


強く。



悔しい。


でも。


それだけじゃない。



「……やれる」


小さく呟く。



根拠はない。


でも。


さっきより。


少しだけ。


見えてる。



「次、呼ばれるぞ」


グリードが言う。



「ああ」



立つ。


足は、止まってない。


むしろ。


さっきより。


前に出てる。



「……行くか」


静かに言う。



今度は。


軽口じゃない。


本気で。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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