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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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21/111

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

「――次」


名前が呼ばれる。


「カイゼル・ラント」



ざわっ――



空気が変わる。


さっきまでの試合とは、明らかに違う。



「……来たな」


グリードが呟く。



「見とけ」


レオン。


短い言葉。



でも、重い。



「対――シン・ルォ」



……来た。


完全に。



「……マジかよ」


思わず出る。



本命同士。



会場の空気が、一段落ちる。


音が消える。



「始め」



――動かない。


またか。



でも。



前と違う。


“重い”


空気そのものが、押し潰してくる。



「……」



見てるだけで、息が詰まる。



「……来るぞ」


レオンの声。



次の瞬間。


消えた。



カンッ!!!


音。


遅れて来る。



速すぎる。



「……っ」



目で追えない。


なのに。


何かがぶつかってるのはわかる。



カンッ!!


カンッ!!



連続。



でも。


荒れてない。


整いすぎてる。



「なんだよ、これ……」


グリードが呟く。



同じだ。


俺もそう思う。


戦ってるのに。


“乱れてない”



「……」


シン。


表情が変わらない。



でも。



ほんのわずか。


動きが速くなる。


一段。


上がる。



その瞬間。



「……っ」



空気が裂ける。


カイゼル。


一歩、踏み込む。



スッ――



無駄がない。


そのまま。


最短で。



「……」



止まる。


剣。


シンの首元。


終わり。



「……そこまで」


静かに告げられる。



ざわっ――!!


遅れて、会場が揺れる。



「嘘だろ……」


グリード。



「……いや」


レオン。


「当然だ」



……当然?



「今の、見えたか」


グリードが聞く。



「見えてねえよ」


即答。



でも。


一つだけ、わかる。



「……無駄がなさすぎる」


ぽつりと出る。



レオンが、少しだけ頷く。


「完成度が違う」



そのとき。


シンが立ち上がる。



何も言わない。


ただ。


カイゼルを見る。



「……」



ほんの一瞬。


目が交差する。


言葉はない。



でも。


わかる。


“まだ終わってない”



「……」



カイゼルは動かない。


ただ、静かに構えを解く。



余裕。


それだけが、残る。



「……なんだよ、あれ」


グリードが吐き出す。


「人間か?」



「人間っすよ」


たぶん。



でも。


「……同じじゃない」


小さく呟く。



あそこには。


まだ届かない。


全然。



「……」



手を見る。


さっき勝ったばかりなのに。


もう、遠い。



「……はぁ」


息を吐く。



でも。



目は離さない。


あれを見た。


見ちまった。



「……行くしかねえな」


誰にも聞こえない声で。


呟く。



その言葉だけが。


やけに重かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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