開戦
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「――配置につけ」
声が響く。
訓練場とは違う。
広い。
観覧席。
旗。
ざわめき。
「……マジで始まるのか」
グリードが呟く。
「始まってるっすよ、もう」
足が、少しだけ重い。
でも。
逃げる理由はない。
「エイゼン」
レオン。
「死ぬなよ」
「物騒っすね」
「冗談だ」
全然そう聞こえない。
「勝て」
それだけ言って、離れる。
……ほんと、あいつはブレねえな。
「お前もな」
小さく返す。
聞こえてるかは知らない。
「第一試合――開始!」
歓声。
空気が跳ねる。
うるさい。
でも。
妙に静かだ。
頭の中だけ。
「……来たな」
対面。
相手は――
東の剣士。
昨日、当たったやつじゃない。
別のやつ。
でも。
同じだ。
空気が。
「……はぁ」
息を吐く。
手を握る。
棒。
軽い。
「――始め」
動く。
速い。
昨日と同じ。
でも。
違う。
「……見える」
一歩。
ズラす。
スッ――
避ける。
振る。
カンッ!!
当たる。
浅い。
でも。
昨日より、深い。
「……」
相手の目が変わる。
「二度目はねえぞ」
小さく言う。
「こっちもっすよ」
返す。
来る。
速い。
変則。
でも。
「……遅い」
今度は言う。
体が、ついていく。
ズレる。
崩す。
踏み込む。
「そこ」
カンッ!!
弾く。
崩れる。
一歩。
前に出る。
振る。
――ドンッ!!
倒れる。
静寂。
「……そこまで!」
声。
「勝者、エイゼンシュタイン!」
歓声。
遅れて来る。
「……はぁ」
息が抜ける。
勝った。
ちゃんと。
「……やるじゃねえか」
グリード。
「ギリっすよ」
正直。
余裕なんてない。
でも。
「前よりはマシだ」
それは確かだ。
「当然だ」
レオン。
「だが」
来たよ。
「まだ足りん」
「はいはい」
わかってる。
言われなくても。
そのとき。
視線。
上。
観覧席。
黒。
シン。
見ている。
「……」
目が合う。
逸らさない。
「……次だな」
ぽつりと呟く。
聞こえた気がした。
気のせいかもしれない。
でも。
「……上等っすよ」
小さく返す。
誰にも聞こえない声で。
でも。
今度は。
逃げない。
足は、止まってない。
まだ。
前に出てる。
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