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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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進むべき道

お読みいただきありがとうございます!


第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

ケッヒル大佐は。


机の上の地図を。


静かに見つめていた。


やがて。


指先で。


小さな印を叩く。


「ここだな」


短い一言。



その場の全員が。


地図へ目を向けた。



クレイスが。


ゆっくり頷く。


「はい」


「ここだけが」


「分かっていません」



銀のレンズが。


二枚の地図を行き来する。


「第五採掘区」


「第一保護区」


「ここまでは」


「記録と一致しました」



レンズが止まる。


第一保護区の先。


小さな印。


「ですが」


「ここから先は違います」


「記録も」


「証言もありません」


「残っているのは」


「この地図だけです」



ケッヒル大佐が。


腕を組む。


「つまり」


「この先は」


「誰も知らん」


「そういうことか」



「はい」


クレイスは。


静かに答えた。


「少なくとも」


「私たちが集められた情報では」


「辿れません」



レオンが。


椅子へ深く腰を掛ける。


「町の老人も」


「第一保護区から先は」


「聞いたこともないって話だった」



グリードが。


鼻を鳴らす。


「綺麗に消されてやがる」



その言葉に。


クレイスが頷いた。


「ええ」


「偶然とは思えません」



俺は。


地図を見つめる。


赤い線は。


第一保護区まで。


迷いなく続いている。



なのに。


その先だけ。


誰にも触れられなくなったようだった。



ふと。


白い子どもの姿が浮かぶ。



『まだ』


『間に合うよ』



あの声は。


何を伝えたかった。



何に。


間に合うというんだ。



俺が考え込んでいると。


ケッヒル大佐が。


静かに口を開いた。


「クレイス」


「お前なら」


「どう動く」



部屋の視線が。


一斉に集まる。



クレイスは。


少しだけ考えた。


そして。


迷いなく答える。


「向かうべきです」


「第一保護区へ」



リシェルが。


顔を上げる。


「その先じゃなく?」



「はい」


クレイスは。


地図を指した。


「小さな印だけを追えば」


「見失う危険があります」


「まずは」


「第一保護区を確認するべきです」


「ここまでは」


「全ての情報が一致しています」


「現地には」


「まだ手掛かりが残っている可能性があります」



レオンが。


小さく笑う。


「なるほど」


「飛ばすなってことか」



「その通りです」


クレイスも。


穏やかに答えた。



ケッヒル大佐は。


しばらく黙っていた。



やがて。


地図を丸める。


「決まりだ」



その声に。


全員が顔を上げる。



「夜明けと同時に出発する」


「目指すは」


「第一保護区」


「その先は」


「着いてから考える」



誰も。


異論はなかった。



俺も。


静かに頷く。



もう。


立ち止まる理由はない。



名簿。


移送記録。


町の証言。


軍の地図。


全部が。


一つの場所を指している。



答えは。


まだ見えない。


それでも。


進むべき道だけは。


はっきりしていた。



窓の外では。


北の空へ。


ゆっくりと。


夜が降り始めていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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