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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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選ばれた子ども

お読みいただきありがとうございます!


第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

石室に。


沈黙が落ちた。



クレイスは。


羊皮紙を。


もう一度。


広げる。



地図。


移送記録。


銅板。



三つを。


並べた。



銀のレンズが。


静かに動く。


「……やはり」


小さく。


呟く。



俺は。


顔を上げた。


「何がだ?」



クレイスは。


移送記録の。


年齢欄を。


指で追う。


「見てください」



俺も。


覗き込む。



八歳。


十一歳。


六歳。


十三歳。


九歳。


十五歳。


十歳。


十二歳。



並んでいる。



リシェルも。


気付いた。


「あれ……」


「大人が」


「いない」



クレイスは。


静かに頷く。


「はい」


「一人も」


「記録されていません」



俺は。


名簿を。


最初から。


見直した。



父親。


母親。


坑夫。


監督。


誰もいない。



いるのは。


子どもだけ。



「どういうことだ」



クレイスは。


少し考え。


答えた。


「この名簿は」


「住民名簿ではありません」


「移送対象者の名簿です」



その言葉が。


胸へ落ちる。


住民じゃない。


移送対象。



「つまり」


リシェルが。


ゆっくり言う。


「最初から」


「子どもだけを」


「移す計画だった……?」



クレイスは。


否定しない。


銅板を見る。



『保護対象移送計画』


その文字を。


静かに読む。



「保護対象」


「という表現も」


「一致します」



俺は。


拳を握る。


「じゃあ」


「親は」


誰が。


助けた。


誰が。


残した。



誰も。


答えられない。



森の風が。


石室へ吹き込む。



クレイスは。


地図を。


もう一度広げた。



第五採掘区。


そこから。


北西へ。


一本だけ。


赤い線。



その終点。


『第一保護区』



「移送先は」


「ここでしょう」


銀のレンズが。


ゆっくり。


線を追う。



「つまり」


「第五採掘区から」


「保護区まで」


「子どもだけを」


「運んだ」



リシェルは。


息を呑んだ。


「じゃあ」


「第五採掘区の火事より前から」


「準備してたってこと……?」



クレイスは。


静かに頷く。


「石碑の建立年」


「銅板」


「羊皮紙」


「全て同じ年代です」


「偶然ではありません」



俺は。


石碑を見た。



あの日。


全部。


突然。


燃えたんじゃない。


もっと前から。


誰かが。


準備していた。


誰かが。


子どもだけを。


逃がそうとしていた。



その時。


一枚の羊皮紙が。


束の下から。


滑り落ちた。



クレイスが。


拾い上げる。


破れた。


半ページ。



文字は。


ほとんど消えている。


読めるのは。


最後の数行だけ。



クレイスが。


低く読む。


「第一保護区」


「移送完了」



その下。


さらに。


かすれた文字。



「未確認」


「三名」



俺の鼓動が。


止まる。



三名。



リシェルも。


言葉を失う。



クレイスは。


黙ったまま。


その紙を見つめる。



三名。



それが。


誰なのか。


どこにも。


書かれていない。



でも。


俺の胸だけが。


理由もなく。


強く。


痛んだ。



その時だった。



カラン――。



また。


鈴の音。



今度は。


さっきよりも。


はっきりと。


近くで。



三人は。


同時に。


石室の入口を見た。



白い服の子どもが。


そこに立っていた。



今度は。


逃げなかった。


その子は。


俺だけを見つめ。


静かに。


一言だけ。


口を開く。



「……まだ」


「間に合うよ」



その瞬間。


森を吹き抜ける風が。


石室の灯を。


かき消した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、


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