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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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切り取られた理由

お読みいただきありがとうございます!


第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

新しい足跡は。


森の奥へ。


続いていた。



けれど。


誰も。


すぐには動かなかった。



クレイスは。


羊皮紙を。


もう一度。


ゆっくり広げる。



銀のレンズが。


一行ずつ。


文字を追った。


「……妙です」



俺は。


振り向く。


「何がだ?」



クレイスは。


破られた跡を示す。


「切り取られたのは」


「一人分ではありません」



リシェルが。


身を乗り出す。


「分かるの?」



「はい」


クレイスは。


羊皮紙の端を指でなぞる。


「一人ごとの記録幅が」


「途中から変化しています」


「元の体裁へ」


「合わせるため」


「詰めて書き直した形跡があります」


「つまり」


「数名分の記録が」


「失われています」



胸の奥が。


ざわつく。



「俺たちだけじゃ」


「ない?」



「可能性があります」


クレイスは。


静かに頷いた。


「少なくとも」


「一家族だけでは」


「説明できません」



森を。


風が抜ける。



リシェルが。


小さく呟く。


「誰が」


「こんなことを……」



クレイスは。


少しだけ考えた。


「目的は」


「二つ考えられます」


「記録そのものを」


「隠したかったか」


「特定の人間を」


「存在しなかったことに」


「したかったか」



俺は。


拳を握る。


「俺たち兄妹を」


「消したってことか……」



クレイスは。


否定もしない。


肯定もしない。


代わりに。


鉄箱の底へ。


視線を落とした。


「まだあります」



「え?」



革の下に。


もう一枚。


薄い木板が敷かれていた。



クレイスが。


慎重に持ち上げる。



カタン。



乾いた音。


その下から。


折り畳まれた。


古い地図が現れた。



俺たちは。


息を呑む。



北部一帯の地図。


山脈。


川。


坑道。


集落。



そして。


第五採掘区。


その場所だけ。


赤い印が付けられていた。



そこから。


細い赤線が。


北へ。


一本。


さらに。


別の赤線が。


東へ。


もう一本。



「一本道じゃない……」


思わず呟く。



クレイスが。


静かに頷いた。


「移送経路です」


銀のレンズが。


地図を追う。


「第五採掘区から」


「複数方向へ」


「人を分散させています」



リシェルが。


地図を覗き込む。


「じゃあ」


「全部」


「避難先なの?」



「その可能性があります」



クレイスの指が。


一つの地点で止まる。


第五採掘区から。


北へ伸びた線。


その途中。


小さな四角が描かれている。



俺は。


周囲を見回した。



崩れた石垣。


石畳。


倒れた柱。



胸の奥が。


ざわつく。



「……ここか」



クレイスも。


静かに頷く。


「恐らく」


「現在地です」



リシェルが。


驚いたように。


辺りを見回した。


「ここが……?」



「子どもたちを」


「一度集める場所だった」


クレイスは。


そう言って。


さらに北へ伸びる。


赤線を指差す。



その先。


地図の端近く。


小さな文字が。


残っていた。



銀のレンズを。


近づける。


「読めます」


小さく。


息を吐く。


「保護区」



森が。


静まり返る。



俺は。


地図から目を離せなかった。



第五採掘区。


そこから。


まず。


この集積所へ。



そして。


さらに。


保護区へ。



「第一段階完了……」


思わず。


呟く。



クレイスが。


頷いた。


「銅板の記録とも」


「一致します」


「子どもたちは」


「まず」


「ここまで移送された」


「そして」


「第二段階として」


「保護区へ向かう予定だったのでしょう」



胸が。


大きく脈打つ。



なら。


俺は。


姉貴は。


妹は。


この場所へ。


来ていたはずだ。



その時。



カラン――。



鈴が鳴る。



三人が。


同時に振り向く。



さっきまで。


白い服の子どもが。


立っていた場所。


そこには。


もう誰もいない。



ただ。


保護区へ向かう。


北の森だけが。


静かに揺れていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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今後も更新していくので、よろしくお願いします!

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