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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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呼ぶ声

お読みいただきありがとうございます!


第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

俺たちは。


顔を上げた。



風が。


森を抜ける。


葉が揺れる音だけが。


静かに。


響いていた。



誰も。


動かない。



「今……」


リシェルが。


小さく呟く。


「聞こえましたか?」



クレイスは。


答えない。


荷馬車を見つめたまま。


耳を澄ませている。



俺も。


息を殺す。


もう一度。


聞こえるかもしれない。



森は。


静まり返っていた。



やがて。


クレイスが。


静かに口を開く。


「行きます」


短い言葉。



俺は。


頷く。



三人で。


ゆっくりと。


荷馬車へ近づく。



軋んだ荷台。


裂けた幌。


中には。


衣服。


毛布。


食器。



そして。


小さな玩具。


木で作られた。


馬だった。



リシェルが。


そっと。


拾い上げる。


「子ども……」



胸が。


少し痛んだ。



家族連れ。


宿場町で見た。


疲れ切った人たちが。


頭をよぎる。



クレイスは。


荷馬車の周囲を。


静かに見回している。


「血痕はありません」


「争った跡も」


「ありません」



しゃがみ込み。


地面へ目を落とす。


「ですが……」


小さく。


眉を寄せた。


「ここにも」


「黒い土があります」



俺も。


近づく。



荷馬車の下。


黒く変色した土が。


細長く。


続いていた。


まるで。


何かを。


引きずったように。



「違う……」


思わず。


口をつく。



クレイスが。


俺を見る。



俺も。


自分で驚いていた。


何が。


違う?



分からない。


なのに。


胸の奥が。


強く。


ざわつく。



その時。



カラン。



また。


あの鈴の音。


今度は。


もっと。


森の奥から。



そして。



「……たすけて」



風に乗って。


確かに。


聞こえた気がした。



俺は。


思わず。


森の奥を見つめた。



そこには。


誰も。


いなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、


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