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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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消えた道

お読みいただきありがとうございます!


第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

森の奥は。


思ったより。


暗かった。


朝だというのに。


陽の光が。


ほとんど。


届いていない。



クレイスが。


先頭を歩く。


その後ろを。


俺。


リシェルは。


すぐ隣にいる。



落ち葉を踏む音だけが。


静かな森に。


響いていた。


鳥はいない。


獣の気配もない。


風さえ。


木々の上で。


止まっている。



「妙ですね」


クレイスが。


小さく呟く。



「何が?」



「足跡が」


「ありません」



俺は。


足元を見る。


馬車の轍は。


確かに。


森の入口までは続いていた。


人の足跡も。


同じだ。



だけど。


そこから先だけ。


何もない。


誰かが。


歩いた跡すら。


残っていなかった。



「……何だこれ」


思わず。


声が漏れる。



「どういうことだ?」


クレイスは。


しゃがみ込み。


地面を見つめる。


「轍も」


「足跡も」


「同じ場所で」


「途切れています」



俺も。


しゃがみ込む。



確かに。


そこまではある。


なのに。


その先だけが。


綺麗に消えていた。



「誰かが」


「消したのか?」



クレイスは。


ゆっくり首を振る。


「その可能性も」


「考えました」


「ですが」



周囲へ。


静かに視線を巡らせる。


「引き返した跡も」


「脇へ逸れた跡も」


「ありません」



リシェルが。


小さく息を呑む。


「じゃあ……」



クレイスは。


短く答えた。


「分かりません」


「だからこそ」


「調べる価値があります」



しゃがみ込み。


落ち葉を。


一枚。


拾い上げる。



その下。


土が。


黒く変色していた。



「焼けてる?」


俺も。


しゃがむ。


触れようとすると。



「待ってください」


クレイスに。


止められた。



細い枝を拾い。


黒い土へ。


触れる。



次の瞬間。


枝の先が。


崩れた。


音もなく。


灰になった。



リシェルが。


息を呑む。



俺も。


思わず。


手を引いた。



「火ではありません」


クレイスが。


静かに言う。


「燃えた跡なら」


「周囲にも」


「熱が残ります」



枝を見る。


先端だけが。


黒く。


消えていた。



「では」


「これは……」


リシェルの声が。


わずかに震える。



クレイスは。


黒い土を見つめる。


「分かりません」



即答だった。


「ですが」


「触れない方がいい」



俺たちは。


その場所を避け。


さらに奥へ進んだ。



少しずつ。


黒い土が。


増えていく。


小さな点。


細い線。


一本の道のように。


森の奥へ。


続いていた。



「これを」


「追うのか?」



クレイスが。


頷く。


「失踪した方々と」


「関係している可能性があります」



「でも」


リシェルが。


森の奥を見る。


「すぐに戻れる距離で」


「調べた方が……」



その時。



カラン。



小さな音。



全員が。


立ち止まる。



「今のは?」


俺は。


耳を澄ます。


何も聞こえない。



また。



カラン。



金属が。


石へ触れるような音。



森の奥。


クレイスが。


ゆっくり。


剣へ手をかける。



俺も。


腰の剣を。


確かめる。



リシェルが。


少しだけ。


俺へ近づいた。



カラン。



三度目。


今度は。


はっきり聞こえた。



鐘。



違う。


もっと小さい。



馬具につける。


鈴の音だった。



「誰かいる!」


俺は。


音の方へ。


踏み出す。



「エイゼンシュタイン」


クレイスの声。


「先に出ないでください」



「でも」



「三人で動きます」


強い声だった。



俺は。


足を止める。



クレイスが。


前へ出る。


黒い道を避けながら。


音の方へ。


進んでいく。



やがて。


木々の向こうに。


何かが見えた。



荷馬車。


横倒しになっている。


片方の車輪は。


外れ。


荷台は。


大きく裂けていた。



「見つけた……」


思わず。


駆け寄りそうになる。



だが。


クレイスが。


腕を伸ばした。


「待ってください」


その声が。


低かった。



荷馬車の周囲。


人はいない。


血もない。


争った跡も。


見当たらない。



ただ。


荷台の中に。


荷物だけが。


残されていた。



服。


毛布。


食器。



そして。


まだ。


温かそうな。


小さな。


パン。



リシェルが。


口元を押さえる。


「ついさっきまで」


「誰かがいたみたい……」



クレイスは。


荷馬車を見つめたまま。


静かに口を開く。


「断定はできません」


「ですが」


「放置されて」


「それほど時間は」


「経っていないように見えます」



俺は。


パンを見る。


湯気が。


わずかに。


立っていた。



その時。


荷馬車の奥から。


小さな声がした。


「……たすけて」



俺たちは。


一斉に。


顔を上げた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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