残された痕跡
お読みいただきありがとうございます!
第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
翌朝。
宿場町は。
まだ。
静かだった。
クレイスが。
地図を広げる。
「三手に分かれます」
皆の視線が。
集まる。
「ケッヒル大佐」
「グリード君」
「ヴェルナさんは」
「西側をお願いします」
ケッヒル大佐が。
静かに頷く。
「任せろ」
「レオン君」
「ルーさん」
「フィナ様は」
「町で聞き込みを」
「昨日の方々から」
「話が聞けるかもしれません」
レオンも。
短く頷いた。
「分かった」
クレイスは。
俺を見る。
「エイゼンシュタイン君」
「リシェルさん」
「お二人には」
「私と来ていただきます」
リシェルが。
小さく頷く。
「傷の様子も」
「見ながら進みます」
クレイスも。
静かに続けた。
「無理は」
「させません」
俺は。
苦笑する。
「信用ないな」
グリードが。
吹き出した。
「あるわけねぇだろ」
「お前」
「すぐ無茶するし」
ヴェルナも。
小さく笑う。
「否定できないわね」
思わず。
頭を掻く。
「……悪かった」
その一言で。
皆が。
少しだけ笑った。
張り詰めていた空気が。
少しだけ。
和らぐ。
ケッヒル大佐が。
立ち上がる。
「行くぞ」
グリードが。
大きく頷く。
「任せろ」
ヴェルナも。
静かに後へ続く。
三人は。
西の街道へ。
歩き始めた。
レオンも。
立ち上がる。
「フィナ様」
「ルー」
「こちらです」
「はい」
フィナが頷く。
ルーも。
穏やかに微笑んだ。
三人は。
宿場町の広場へ。
向かっていく。
その姿を見送り。
クレイスが。
俺たちを見る。
「では」
「行きましょう」
俺は。
頷く。
リシェルも。
静かに。
隣へ並んだ。
俺たち三人は。
町外れの森へ向かう。
しばらく歩くと。
クレイスが。
足を止めた。
「ここです」
地面を指差す。
俺も。
しゃがみ込む。
そこには。
深く刻まれた。
馬車の轍。
いくつもの。
足跡。
だが。
森へ続いた跡は。
途中で。
途切れていた。
「……消えた?」
思わず。
声が漏れる。
クレイスは。
静かに頷く。
「町の人の話では」
「ここで」
「消息を絶ったそうです」
その時。
「クレイスさん」
リシェルが。
静かに呼ぶ。
落ち葉の間を。
指差していた。
俺たちも。
近づく。
そこには。
泥に埋もれた。
小さな金具。
クレイスが。
拾い上げる。
土を払う。
馬具の留め具だった。
「壊れている……」
俺が呟く。
クレイスは。
金具を見つめたまま。
小さく頷く。
「自然に」
「外れたものでは」
「ありません」
風が吹く。
森が。
静かに揺れる。
鳥の声は。
聞こえない。
リシェルが。
辺りを見回す。
「静か……」
俺も。
森の奥を見る。
胸の奥が。
また。
ざわついた。
あの日。
巡礼路で感じた。
あの違和感と。
どこか。
似ていた。
クレイスが。
金具を。
そっと懐へしまう。
「これは」
「持ち帰りましょう」
そして。
静かに前を向く。
「行きましょう」
俺は。
頷いた。
三人は。
ゆっくりと。
森の奥へ。
足を踏み入れた。
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