旅支度
お読みいただきありがとうございます!
第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
翌朝。
王都は。
いつもと変わらず。
賑わっていた。
商人の声。
鍛冶場の槌音。
行き交う人々。
その中を。
俺たちは。
歩いていた。
クレイスが。
手帳を開く。
「保存食」
「飲料水」
「冬用外套」
「薬品」
「ロープ」
「ランタン」
「不足があれば」
「北では」
「取り返せません」
「必要な物は」
「全て揃えます」
レオンが。
頷く。
「保存食は」
「余裕を持とう」
「ええ」
クレイスも。
頷いた。
「水袋も」
「追加します」
ケッヒル大佐が。
口を開く。
「馬具は」
「俺が見る」
そう言うと。
近くの馬へ歩いていく。
鞍。
手綱。
蹄鉄。
一本一本。
確かめ始めた。
リシェルが。
小さく手を挙げる。
「薬は」
「私が確認します」
「お願いします」
ルーが。
微笑む。
「毛布や外套は」
「私たちね」
ヴェルナも。
頷いた。
「任せて」
グリードが。
笑う。
「重い荷物は」
「俺の仕事だな」
「俺も運ぶ」
そう言うと。
グリードは。
俺を見た。
「無理はするなよ」
「ああ」
フィナが。
俺の隣へ来る。
「私も」
「お手伝いします」
「じゃあ」
「軽い荷物を頼む」
フィナは。
嬉しそうに。
頷いた。
それぞれが。
自分の役目へ向かう。
俺も。
木箱を抱え。
荷馬車へ運ぶ。
少しずつ。
旅の形が。
整っていく。
その時。
武具店の主人が。
声を掛けた。
「北へですか」
クレイスが。
頷く。
「ええ」
主人は。
少しだけ。
表情を曇らせる。
「最近は」
「北へ向かう人が」
「増えてます」
クレイスが。
顔を上げた。
「増えている?」
「噂ですがね」
主人は。
声を潜める。
「古い遺跡が」
「見つかったとか」
「夜になると」
「山が光るとか」
グリードが。
肩をすくめる。
「噂なんざ」
「半分は」
「酒の肴だ」
主人は。
苦笑した。
「そうだと」
「いいんですがね」
クレイスだけは。
笑わなかった。
静かに。
地図へ目を落とす。
俺は。
積み上がった荷物を見る。
保存食。
飲料水。
薬品。
冬支度。
北への旅は。
もう。
はじまっていた。
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