覚悟
お読みいただきありがとうございます!
第二部の北部編に入りましたが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
クレイスは。
静かに。
フィナを見つめていた。
部屋には。
誰一人。
声を発しない。
やがて。
クレイスが。
ゆっくり口を開く。
「お気持ちは」
「分かりました」
「ですが」
「それだけでは」
「同行を認める理由にはなりません」
フィナは。
黙って頷く。
その時だった。
「少し待て」
「クレイス」
低い声。
ケッヒル大佐だった。
腕を組んだまま。
フィナを見る。
「一つ。」
「お聞きします」
フィナも。
真っ直ぐ。
見返した。
「はい」
「北へ行けば。」
「命を落とすかもしれません」
「それでも行きますか」
迷いは。
一瞬もなかった。
「行きます」
「シュトックだけが」
「行ってしまう方が」
「私には耐えられません」
ケッヒル大佐は。
しばらく。
何も言わない。
やがて。
小さく。
息を吐いた。
「そうですか」
その一言だけだった。
だが。
部屋の空気が。
少し変わる。
レオンが。
ケッヒル大佐を見る。
「大佐」
ケッヒル大佐は。
短く答えた。
「ご覚悟は」
「本物だ」
「それは確かだ」
フィナは。
思わず。
ケッヒル大佐を見る。
この男が。
自分を認めた。
そのことに。
驚いていた。
しかし。
クレイスは。
静かに首を振る。
「ご覚悟だけでは」
「ご同行は認められません」
「北は」
「それほど甘い場所ではありません」
再び。
静寂が落ちる。
その時。
ずっと黙っていた。
ルーが。
穏やかに微笑んだ。
「だったら。」
皆が。
ルーを見る。
「フィナちゃんにも。」
「北へ行く資格があるか。」
「確かめればいいんじゃない?」
クレイスの眉が。
わずかに動く。
「資格……ですか」
ルーは。
小さく頷いた。
「ええ。」
「覚悟だけじゃなくて。」
「ちゃんと。」
「見てあげましょう」
クレイスは。
しばらく考え込む。
そして。
静かに。
顔を上げた。
「……なるほど」
その瞳には。
一つの答えが。
生まれ始めていた。
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