探偵塾始動 3
中に入っていた写真はこの三人が密会している場面が数枚と東都銀行池袋支店に出入りする人物とその人物がカヤ土建のビルに入っていく写真が数枚であった。
翔はそれを手にして
「山形優一がこの写真を隠していたということは恐らくカヤ土建、大間、岩尾警察庁長官のトライアングルの何か大きな証拠になると思ったからだろうと思う」
と告げた。
そして正面に座る止々呂美修也を見つめ
「考えられることは」
と告げた。
止々呂美修也は冷静に
「不正な金の遣り取り」
と告げてその写真を手に
「この時刻の防犯カメラと入金履歴を調べれば何か分かるかもしれないということだな」
とその写真と三人が会っている場面の写真を携帯に収めて立ち上がった。
もし、金を下ろしてそれを手渡したとすればずっと追跡していた山形優一はその場面も写真にして入れていただろう。それが無いということは可能性として『入金』されている可能性があるということだ。
恐らくは大間正明か岩尾としおのどちらかである。
止々呂美修也は翔を見ると
「この写真とカバンは君が保管してもらいたい。私はこの証拠を隠蔽しないという証明として」
と告げた。
翔は目を見開くと
「了解した」
と立ち上がり笑みを浮かべると
「これは貴方がたからの借りとして……俺から貴方がたに返そうと思うものがある」
とUSBメモリを置いた。
「これは山形優一の前に俺が乗り込んだ松田貴子のマンションの芝桜のある場所から見つけた彼女が殺されることになった原因の動画のコピーと4年前に俺の両親が殺された前日の隣の家の防犯カメラの映像だ。俺が最も信頼する警察官から受け取ったものだ。それとその写真で大間を落とせると思う」
……これは俺からの信頼の証だ……
「探偵塾の件は直ぐに取り掛かる」
止々呂美修也は笑みを深めてUSBメモリを受け取った。
「感謝する。それから塾の方でも必要なことがあれば言って貰いたい力を貸す準備はある」
翔は飛び出していく止々呂美修也を見送りカバンを肩にかけてホテルの部屋を出た。
探偵を現場に飛び込ませて警察の隠蔽の動きを封じる。それを警察内部の人間から頼まれたのだ。
警察はそこまで追い込まれているという事でもある。
翔は東都ハイアットホテルのエントランスを抜けて道路に出ると夜空を見上げた。
「それでも、警察内部から不正を良しとしない人間が立ち上がり始めたのかもしれない」
絶対権力者の不正な圧力に屈伏していた警察官も自身のあるべき本来の形を思い出して動き出したのだ。
それは翔にとっては嬉しいことであった。
「事件で苦しみ傷ついている被害者を更に隠蔽や不正で苦しめることは正しい事じゃない」
……俺は断ち向かう……
翔はそう心で呟き何も知らず夜のイルミネーションの下で談笑を広げる人々の中に紛れて自宅へと向かった。
同じ時、警察庁へ戻った止々呂美修也と島本蓮司は翔から託されたUSBメモリの中身を見て目を見開いた。




