運命の接触者 7
止々呂美修也は翔を見つめ
「まあ、普通は犯人を示すダイイングメッセージと考えるな」
と告げた。
確かにそうだが『むなやや』は言葉だが後は数字である。
前の数字が何かを示しそれに合わせて『むなやや』という言葉を変換させるのか。
翔は息を吐き出し
「もし一文字ずつ4つ前か後ろの文字に変化させるってことだとしたら『へちみみ』か『ゆのりり』になるが名前にも苗字にもならないな」
と心で呟いた。
しかし、その後ろの1130は何か? である。
止々呂美修也は写真を内ポケットに仕舞い
「まあ、先ずはこの事件の犯人を上げるのが先かもしれないな」
と告げた。
「君の配信の観客もお待ちかねだろう」
ダイイングメッセージは見せられないが捜査現場はみても良いという事だ。
言外に現状を公表しても良いと言っているのだ。
翔は笑みを浮かべると止めていた配信を開始した。
それに画面にはコメントが多く流れた。
『おお!? どうした?? 警察が隠蔽辞めたのか?』
『不正や隠蔽を隠すつもりも亡くなったって事か? それとも本気で動くから見てろって事か?』
『いやいや、犯人逮捕したら信じるかなぁ』
などなど。
それに止々呂美修也と島本蓮司は目を向けると互いに視線を交わした。
人々は……本能的に気付いているのだろう。
体感でモノを言うな。
ファクトチェックしろ。
そう言って人々の体感を馬鹿にする人間がいるが、市民の体感は正直に現状を把握している者なのだ。
そう、警察が。検察が。判事が。司法が今『一つの事』に関して全く機能していない事を人々は敏感に感じ取っているのだ。
「それは我々警察官自身が良く分かっている」
翔はそう呟く止々呂美修也を見ると荒らされている部屋を見回し
「恐らくこれだけ派手に荒らして隠そうともしていないということは警察がこの事件を深く追求しない、若しくは短絡的な犯行のどちらかだと俺は思う」
と告げた。
「その上で鑑識も入っていない状態は前者の可能性が高い」
……だからこそ指紋、ゲソ痕、間違いなく防犯カメラを避けもしていない……
止々呂美修也は笑むと
「その通りだ。犯人の面は割れているが犯人は悠々としているだろうな」
と答え、携帯を手にすると口角を上げて笑みを浮かべた。
「半井署長だな。昨夜の山形優一の強盗事件だが、我々が個別で捜査状況を調べに来ている時に偶々探偵チューバ―に押し入られてSNSに状況が流れてしまったようだ」
そう言い
「ゲソ痕や遺留指紋。防犯カメラの映像から犯人が隠すことなくあからさまに犯行に及んでいる点から逮捕へ結びつけることが出来る状況がな。人々はそれを知ってしまったので署長である貴方が鑑識を使って現場捜査に乗り出さないと誰かの命令であっても貴方が責任を取ることになると思われるが……そんな愚かなことをするとは私は思わない」
……今すぐ鑑識と刑事課強行犯係を現場へ呼び寄せてもらうように……
「防犯カメラの映像回収は……既に終わっている」
その一言で署長は蒼褪めながら息を吐き出すと
「止々呂美警視正……分かりました」
と言い、刑事課と鑑識を動かした。




