運命の接触者 1
松田貴子の事件の裏には海外労働者流入の利権を取り巻く黒い闇があった。
天埜翔は彼女の吸殻入れに書かれた面白格言の『桜の下に死体は眠る』という言葉の上に背景と同じ色のペンで『芝』と書かれていることに気付きマンション下の芝桜を調べて手に入れた袋の中のUSBメモリをパソコンに差し込んで中に入っていた動画を見つめた。
動画の登場人物はアル・カヤと呼ばれる彫りの深い顔立ちをした日本人ではない男性と知っている人物の姿があった。
天埜翔は拳を握りしめると目を細めた。
「まさか……大間さんが?」
まさかである。
だが、間違いなかった。
父親の同僚だった大間正明であった。
動画は恐らく隠し撮りされていたのだろう手前にワイン瓶の縁が映っていた。
その向こうで大間正明が肩を竦めながら話をしていたのである。
「カヤさん、あまり無茶な事しないでくださいよ。4年前だって天埜が調べて証拠を得たという情報を入手したから止めることができたんですからね」
そう言って金を受け取っていた。
カヤという名前の男は笑って
「でも、出なかったね。本当だったの? 貴方が私たちと繋がっていること知られて嘘言ったんじゃないんですか?」
と告げた。
大間正明は表情を変えて
「それが不可解だったんですよ。まあ、天埜の子供には上手く言って家も家具も全て処分したのでどこに隠していてももうありませんけどね」
と笑った。
翔は目を見開くと拳を握りしめて机を叩いた。
全部。全部。全部。
親切そうな顔をした嘘だったのだ。
それに自分はまんまと騙されていたのだ。
確かに広くないマンションの部屋に家具などを持って行くことはできなかった。全て家と共に処分した。
仕方がないと手放したのだ。
なのに。
カヤは笑って
「まあ、わかったね。とにかく先生はサベツ、サベツ、ネ。そう言って人権に訴えるね。弁護士はそういうの人権弁護士って人が良いように見られるからね。こっちのテレビ局の人もそう言って抑えるように言っているね。私の相棒が向こうから金を貰って人を入れる。政治家は税金で我々を支援する。企業も安く使う代わりに私たちに協力する。我々大儲け。全部、あの人間たちが書いたシナリオ。先生たちも警察も検察も裁判官もテレビもみーんな、金貰う。そして、私たちを守る」
と笑いながら告げていた。
翔は動画を止めると立ち上がり
「彼女はこれで脅したんだろう。カヤと呼ばれる男と大間の二人を」
と呟いた。
「そして口封じされたんだ」




