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捜査立会人 ~オブザーバー~  作者: 如月いさみ
SNS探偵 天馬

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運命の始まり 4

 天馬は笑みを浮かべ携帯を手にすると自身の方へと翳し、推理を待っていた閲覧者たちに

「それではショ――――! タイムといきますよ~」

 と言い、松田貴子の手首と二の腕と脇腹の痣を順に写した。

「この手頸と二の腕の圧迫痕は毒を飲まされ抵抗した時に抑えられたモノ」


 ……つまり自分ではできない痕である……


 天馬は更に

「この部屋は密室だったと警察は言っているが鍵に釣り糸、もしくは、糸を使えば密室は作れる」

 と鍵を手にして

「この鍵の穴に糸を通して片方の先端をテープで軽く止める。そして、吸い殻入れには水を入れて固定し、この傷のついた二つの穴に中から外へと片方の先端を通して窓の手前と奥の重なる部分の上の隙間に糸を通して外側へ投げ捨てる。その後、糸と引っ張りながら郵便受けから鍵を入れて外へ出て投げ落としていた反対に糸を引っ張ると吸殻入れは水で固定されているし蓋はきっちり動かないので途中でテープが外れ糸は回収され鍵は残る」

 と告げた。

「こうして密室は作られる」


 天馬は蒼矢を見て

「刑事さんは分かっていたんじゃないの?」

 と告げた。


 蒼矢は肩を竦めると

「密室トリック以外はな」

 と答えた。


 そして、SNS探偵天馬が冷やかし似非探偵でないことを蒼矢は理解したのである。


 推理の披露にPVは更に増え

『確かに可能かも』

『警察は自殺でさっさと処理しようとしていたのか? こっわっ』

『何か自殺にしたい理由でもあったのか?』

 などなど言葉が画面を流れていく。


 警察への批判轟々である。


 天馬は笑みを浮かべ

「警察が真犯人を捕まえることが出来るのか……それとも先のように唯の自殺と隠蔽を測るのかを皆さん、見極めてくださいよ~」

 というと鑑識から他の警察官が横目でにらむ中を優雅に一礼すると配信を止めた。


 杉田善一は苦笑しながら

「こう公に自殺を真っ向否定されちゃぁ他殺でも動かないといけなくなっちまったったな。SNSもバカには出来ねぇからなぁ」

 と最後はハハハと告げた。


 蒼矢は天馬を見つめ

「ただの目立ちたがり屋かと思ったが……推理は正しい。後は任せてほしい」

 と手を差し出した。

「SNS探偵天馬」


 天馬は蒼矢を見つめ

「貴方とよく似た人を俺は知っている。だから」

 と手を握り返すとぐぃと引っ張った。


 前にのめりになった蒼矢の耳元で

「俺の名前は……天埜、翔」

 と囁き

「では」

 と携帯をポケットに入れると現場を後にした。


 警察は更に遺留品採取をしなければならないだろう。同時に『自殺』として隠蔽するのも難しくなったはずである。


 SNS探偵天馬こと天埜翔はそう心で呟き

「松田貴子……スナック『レイン』のスナック嬢であの男たちを雇っていた会社の社長のお気に入り」

 と目を細めて

「明らかに殺しだ。それを警察が隠蔽しようとしていたということは『殺されるだけの脅しのネタ』を持っていたかも知れない」

 あの水だけ張られた利用された形跡のない吸殻入れの見えにくい落書き、とマンションを出ると足を止めてマンションの周囲に植えられた芝桜を見てその前に立った。


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