全貌 15
天加はその人物を見ると目を見開いた。
「兄さん!」
哲二は驚きながら
「すっげ、似てる」
と呟いた。
天埜翔は笑みを浮かべて天加の肩に手を乗せると
「よくやったな、天加」
と告げた。
「これで本当に父さんと母さんの死の裏が全て明らかになる」
天加は目を見開くと笑みを深めて
「俺こそ、兄さん。ありがとう。この捜査立会人を作ってくれて」
と答えた。
島本蓮司が世名を見て
「では、始めようか」
と告げた。
それぞれが収集した情報を搔き集めて一気に鈴木翔を中心とした司法や政財界の人間の不正を暴き出そうという事だ。
最初に報告したのは坂本蒼矢と部下の三河優二であった。坂本蒼矢の依頼こそが今回の発端だからである。
坂本蒼矢は三河優二を見て頷いた。
三河優二は長机を挟んで座っている面々を見回しながら立ちあがると
「私たちからご報告いたします」
そう言い
「鈴木翔は代議士になる前にグローバルクリエイト派遣会社という人材派遣会社を設立し運営しておりました。資本金は1000万でスタッフが5名の小さな会社でしたが現在は弁護士事務所および物流関係の会社を傘下に入れたグローバルクリエイトグループとなっております」
と告げた。
それに坂本蒼矢は
「鈴木翔は帰化人でグループ内から4名の代議士、そして、弁護士協会長を輩出している」
と続け
「そもそも、グローバルクリエイト派遣会社の設立資金はクラウドファンディングだが、外資系銀行が80%を寄付し人材派遣と言っても海外からの技能実習生などを主に扱い数年でかなりの支援金を国の税から受け、更に技能実習生からはブローカーを通じて紹介料を得ていた。それが発展の基本になっている。つまり、鈴木翔が所属している民自党が外国人の支援金を受け入れ先企業へ出すことを決めてからはグローバルクリエイト派遣会社が巨大化して司法に手を出し始めたという事だ。ただ問題なのは技能実習生などで海外からの人間を仲介して国税や紹介料で金を得ているが、その半数以上が逃亡している」
と告げた。
その意味。
「そして逃げた労働者は再びグローバルクリエイト派遣会社から他の企業や個人事業主に派遣されている。つまり、逃亡前提で労働者売買がされ巨額の金を手に入れていることが分かっている」
そう海外の人間を中心とした国税を含めた巨額の金を中心とした政治家中心の労働売買市場を築いていたという事だ。
「ただ逃亡前の技能実習生が事件を起こした場合にグループ内の弁護士事務所が担当し強盗、傷害、窃盗など9割近くが不起訴、無罪になっている。その検察内での割り振りが同じ検事に割り振られ、裁判に関しても何故か同じ判事が担当している。それに関してはほぼ全てが不起訴無罪だった」
……これが警察から送致された事件と担当検事と担当判事の一覧だ……
置かれた資料を全員が見て目を細めた。
「グローバルクリエイトの周囲は正に無法地帯だ」
それに理人が
「そして、それに疑問を呈したライター、代議士、弁護士は口封じのように不審死を遂げて事故や自殺という隠蔽もされていた」
と呟き、誰もが拳を握りしめた。
その死を隠蔽された人間の親族や近親者が今この部屋の大半を占めていたからだ。
帰化人による外国人の流入による国の崩壊と国を挙げての国税投入という名前のマネーロンダリングを一石二鳥でしてきたという事だ。
理人は身上書を一枚一枚置きながら説明を行った。




