全貌 14
警察庁へと戻り天加は哲二と共に川原凛也と挨拶を交わした。
「俺は川原凛也だ。世名さんとは旧知の仲で犯罪書庫レンタル屋っていう情報屋をしている」
そう笑んで世名から通帳のコピーを受け取ると嵐のように立ち去った。
かなりフットワークが軽い人物である。
情報屋をするくらいなのだからそうなのだろう。
そして世名は須藤朋美から受け取ったカードと壊れた三嶋夜のタブレットを持って
「じゃあ、天加君に的場君、行こうか」
と呼びかけると足を踏み出した。
警察庁には科学捜査班はない。なので、警視庁の科学捜査研究所を利用するのだ。
警視庁のビルの一角にある科学捜査研究所に三人は足を踏み入れると連絡を受けて待っていた人物に挨拶をした。
世名は軽く
「じゃあ、千草さん宜しく」
と告げた。
鈴元千草は肩を竦めながら
「はいはい」
と応えるとビニールの袋に入っていたカードとタブレットを手に通常の警察のフロアとは違った近代的な装置が所々に設置されている空間を進んだ。
千草はタブレットにルミノール試薬を吹きかけてブラックライトを当てた。
拭き取られた際に血が滲んだり広がったりしたために指紋らしい指紋はなかったがタブレットの裏の端に僅かに人差し指の指紋が残っているのに千草は目を向けると
「ギリギリ……ビンゴみたいだね」
と笑みを見せた。
それを写し取りカードの方から取ることが出来た幾つかの指紋の内で天加の指紋を覗いた残りの二つの指紋の内の一つにヒットした。
「合致率が98%同じ人物が触っていることがわかるね」
天加は世名を見ると
「これで須藤朋美を確保して指紋を提供してもらったら落とすことが出来ます」
と告げた。
カードについては銀行のスタッフの指紋が付いていた可能性もあるが、三嶋夜の殺害現場にいたのは須藤朋美と松田健太の二人以外には考えられなかった。
そしてカードと殺人現場から同一の指紋が出たとすれば須藤朋美の指紋以外にはないだろう。
これで本人の指紋を採取して認証できれば立派な証拠になる。
世名は頷くと
「須藤朋美の逮捕だな」
と窓の外を見た。
東京から脱出できないように警視総監を通じて空港、鉄道、道路に検問を張った。
世名は更に各飛行機会社に連絡を入れて須藤朋美が搭乗手続きを取った際に空港警察へ連絡するように依頼も入れた。
三嶋夜の犯罪が明らかになれば防犯カメラから三嶋真昼の殺害の自供も取れる可能性が高い。
二つの事件を一気に解決できるかもしれないのだ。
三人は警察庁へ戻るとそこに会議室に芹と啓達と理人と凛也の4人と坂本蒼矢と部下の三河優二の二人が待っていた。
そして、警察庁次長の島本蓮司ともう一人の人物も待機していたのである。




