捜査立会人 7
大森洋一は首を振ると
「どうして俺がそんな真似をしなければならないんだ!! 洋一は俺の子供だぞ!」
と叫んだ。
大森君子は顔を向けると
「……でも、貴方。私が浮気をしているかもしれないって……洋介の事も自分の子じゃないかも知れないって疑っていたんでしょ」
と泣きながら告げた。
大森洋一は息を吐き出すと
「君が変わったのは3か月前だ。あのスポーツジムへ行ってからだ。洋一の出生を疑うわけがない。確かに今の君については……浮気を疑っているが……」
と最後は小さな声になり呟いた。
田村健はフッと冷静に笑むと
「……つまり、貴方は浮気をした君子さんに罪を擦り付けるという事も同時にしようとしていたという事ですね。事故にしても事件にしても最初に疑われるのは君子さんですからね」
と告げた。
「貴方が君子さんと別れるために、そして再婚するのに邪魔になるかもしれない洋介君も殺そうとしたと考えられる」
大森洋一は蒼褪めながら
「そんなバカなことをするわけがない」
と項垂れたように頭を振りながら呟いた。
大森君子は顔を伏せて
「貴方、酷いわ」
と両手で顔を覆った。
大森洋一は顔を背けると
「いい加減に……」
してくれ、と言いかけた。
が、それに被せるように天加がスッと手を上げた。
「あ、取りあえず田村さんの推理はお聞きしました。それで警察の見解をお聞かせください」
そう落ち着いた平静な声で告げた。
「どうぞ」
……。
……。
「どうぞ」という場面か? と世名と刑事が同時に心で突っ込んだ。
世名は咳払いをすると動揺しかけた自分を立て直し
「俺たちは警察と探偵それぞれがちゃんと捜査しているかの立会人だ。気にせず続けてくれ」
と告げた。
流石に田村健も刑事も少し顔を顰め
「「え? 気にせずって何しに来たんだ?」」
やりにくい、と心で突っ込みつつ刑事が口を開いた。
「俺は此処の管轄で新橋西北署刑事課強行犯係の近本忠雄だ。確かに湯が出た時に大森洋一がいたかは不明だがそれはマンションの防犯カメラを確認すればわかるだろう。大森君子さんに関しては隣の部屋の本宮敦子さんとここでお茶をしていた。彼女がいうには話をしている最中に浴室の物音で気付いて玄関から入った時には水の音も聞こえていなかったと言っていた。耳が悪いと言っていたがリビングで聞こえたのだから玄関なら聞こえていたに違いない。つまり、大森君子と彼女が話している間に起きたという事だ。だから、幼児の事故だと判断した」
と告げた。
天加は手を上げると
「あの、一つお聞きしたんですが」
と告げた。
「大森洋一さんはどうして帰ってきたんですか? 仕事によりますが態々君子さんに帰ると知らせたということは本来仕事だったんでは?」
全員が顔を向けた。




