捜査立会人 6
二人を乗せた車が赤坂セレスマンションの前に到着すると天加は運転していた若い男性に
「ありがとうございます」
と声を掛けて降りた。
世名もまた
「お疲れ」
と声を掛けて降りると天加の横を抜けて
「こっちだ」
と規制線の中へと入りエレベーターで3階へと登った。
そして、二人は303号室へと入った。
玄関口から右手に洗面所とトイレと浴室など大きな水回りがあり、左手に部屋が二つあった。間の廊下を進んだ先に広々としたLDKとベランダが広がっている2LDKの間取りであった。
天加は玄関に入って洗面所やトイレ、現場となった浴室などを丹念に見て回った。浴室は極普通のマンションのユニットバスで温度や時間などが設定できるタイプのモノであった。
その手前が子供部屋となっておりベビーベッドや哺乳瓶など色々入っている棚と大森家一家の写真があった。
大森洋介を笑顔で愛おしそうに抱いて立っている大森洋一とその前で飲ませる予定のミルクを右手で持って満面の笑顔を浮かべている大森君子の姿があった。
極々普通の仲の良い家族写真である。
天加はその写真の横にあるDVDラックを見てパラパラと動かして不意に一枚手に取り
「これ、もしかして妊娠記録かも」
と少し考えるとそれを手に持った。
世名は目を細めて
「何故?」
と呟いた。
この状況で家族記録のDVDを見ている場合じゃないだろ?
おいおいおい、である。
「天加くん、それを持って何をしようとしているんだ?」
と聞いた。
天加は振り向くと
「ああ、これだけ下にあったので……なんとなく」
と答え
「あ、これも」
と世名に先ほど見ていた写真を手にすると手渡した。
「どうぞ」
世名は目を瞬かせながら「お、おお」と答え、受け取ってフムッと息を吐き出しつつも天加の後に付いて足を進めた。
天加は今回の捜査対象である所轄の刑事と探偵チューバ―と両手で顔を覆って泣き崩れている大森君子と顔を背けて立っている大森洋一が集っているLDKの中に足を踏み入れた。
修羅場である。
「こんにちは、初めまして……捜査立会人の天埜天加です」
……。
……。
全員が顔を向けて沈黙を広げた。
あんた誰? 状態である。
探偵チューバ―は怪訝そうに天加と世名を見て
「俺は田村健。探偵だ。あんたらは何者だ?」
とチラリと視線を向けた。
天加よりも少し上くらいの20代中頃の男性で携帯を手に睨みを利かせていた。
だが、フゥと息を吐き出して不遜に笑むと
「まあ、良いだろ。これは巧妙に仕組まれたトリックだ」
そう自信ありげに告げた。
……父親の大森洋一は事件より前にこっそり戻っていて話に夢中の二人を確認して大森洋介君を殺そうとして浴槽に連れて行き湯を浴びさせ、暫くしてまるで今帰ったように戻ってきた……
「罪状は殺人未遂」




