迷宮のダイイングメッセージ 5
天加も流石に息を吐き出すとチラリと坂本蒼矢を見て
「あの、他に何か彼から聞いていませんか? 彼が警察官である貴方に伝えようとしていたことの心当たりとか」
と聞いた。
坂本蒼矢は暫く腕を組んで考えたものの顔を見て
「彼は新聞記者で殺される前に俺に7年前の事件を含めて政財界で起きていた警察などが隠蔽しようとしていた事件を親友と調べていると言っていた」
と告げた。
天加は驚いた顔をして
「その……7年前の事件というのは」
と聞いた。
坂本蒼矢は息を吐き出し
「7年前に君の両親……天埜夫妻が殺された事件だ。君の兄である天埜氏が解決した事件だ。確かに天埜夫妻の事件は解決できたがその当時は他にも不審な事件や事故が多発していた」
と言い携帯を手にしてギャラリーから一枚の写真を出した。
「これは君の兄である天埜氏が探偵塾と言うのを作った時にその塾に参加した人々との写真だ。司法関係者もいる。この人は俺も知っている遠島検事。こっちは天音判事。時々遣り合う時がある」
……彼はこの塾生の一人だった……
中央に天加の兄である天埜翔が笑みを浮かべて立っており、周囲に数名の男女が立っていた。
「これが三嶋真昼。彼女の兄だ」
そう言ってその中のシュッとしたスーツを着た物静かな雰囲気の若い青年を指さした。
「参加者の誰もが当時の司法関係者や政財界の異常な動きに不信と同時に変革したいと思っていた」
哲二は「なるほどな」とボヤキながら、写真を手に目を見開くと視線を天加に向けた。
「おい、こいつ」
天加もハッとすると
「財前さんだ。それに世名さんに、この人は警察庁長官だ。国家公安委員長もいる」
と呟いた。
「任命書を受け取る時に会った」
哲二は慌てて写真に視線を戻して目を見開いた。
「げっ、マジかよ。それってどうなってんだ?」
坂本蒼矢はチラリと天加の顔を見て僅かに視線を動かしたものの静かに頷いた。
「そうだ。捜査立会人プロジェクトの立ち上げで動いている人間は塾生だ。彼らは探偵塾が出来た頃に司法を変えようと動いていた。誰もが警察の忖度による不正で肉親の死を隠蔽されたり、命を狙われたりしていたからな」
そう言って息を吐き出した。
「そして、ここにいる彼女が……俺の婚約者だった三嶋夜だ」
三嶋真昼の隣で明るい笑顔を見せて隣の女性と笑いあっている女性を指で示した。




