もう一人の捜査立会人 11
坂本蒼矢は息を吐き出し
「確かに我々は彼の遺体の周囲から毒物が出なかったことで病死の線をメインに考えていたからなぁ」
とぼやいた。
財前理人は笑むと
「ただ、真中達也の体内から毒物が出ない限り病死、事件どちらかに偏って考えるは正しくはないと俺は思っている」
と告げた。
そこへ若い刑事が姿を見せると
「いま検死報告が入りました。真中達也の血中からテトロドトキシンの成分が検出されました」
と告げた。
……ふぐ毒です……
坂本蒼矢は息を吐き出し
「飴や周囲のものからテトロドトキシンは検出されていないとくれば……被害者は何処かで摂取し、そして時間を置いて死に至ったってことになるな。時間差トリックを利用した殺人か」
と呟いた。
財前理人はそれに立会人としての意見を出すことはなかった。つまりは肯定の意味である。
坂本蒼矢は社員に聞いた家族構成や夫婦関係の話を思い出しながら
「こりゃ、被害者の家の家宅捜索をしないとだな。隠滅する前にいそがねぇと」
というと
「村上、まだこのフロアにいた人間の疑いが晴れた訳じゃない。お前はここで社員たちを待機させておけ」
と部下を二人連れて現場を立ち去った。
井上昭二は足を踏み出すと
「さて、被疑者は間違えたが事件と言う見立てはあっていた。最後の事件の解決をするのは俺だ」
と出て行った。
天加は残った刑事達の立会をしている財前理人に
「じゃあ、俺は探偵が被害者宅へ向かったので向かわせてもらいます」
と告げた。
財前理人は笑むと
「向こうは頼む」
と見送った。
「桐谷さんが言っていたことは正しかったってことだな。流石、天埜さんの弟さんだ」
そう呟いて立ち去った天加の背中を見つめた。




