もう一人の捜査立会人 10
天加は目を見開き笑みを浮かべた。
「なるほど、直ぐに分かったんだな」
メッセージの意味が分かったからこそ『家族関係について』も社員の聞き込みに追加したのだ。恐らく直ぐに判断できたのだろう。
的場哲二はそっと天加の横に立つと
「そいつと同じ考えなんだろ? 俺にも説明しろよ」
とコソッと耳打ちした。
天加は的場哲二を見て
「的場探偵は意外と人の表情の読み取りが上手いんだ」
と告げた。
的場哲二は笑むと
「まあな」
と言い
「ちょっとした仕草や表情で人は感情を出すからな」
と告げた。
天加は目を見開いて
「なるほど」
と言い
「……彼が手にしたのは刺身じゃない。その下の大根の方だ」
と告げた。
「あしらいって言われることもあるけど、他の言い方でツマともよく言われる」
……彼はそれを咄嗟に握ったことになる……
「死に際にそれを無理やり握ったとしたら直接的に『妻』をさしたんじゃないかと俺は考えた」
的場哲二は驚いて
「そういうことか……財前って奴もそれに気付いたから家族を調べろと言ったんだ」
と告げた。
天加は頷いて
「これで真中達也の体内から毒物が出てきたとして妻が犯人だと彼が本当に思ってそれを握ったとすれば……彼は出社する前に彼女から何かを渡されて口にしたということが考えられる」
と言い
「時間的に言えば約6時間程度……しかも発症して直ぐに死に至る劇薬ならカプセル錠以外には考えにくい。だから死ぬ寸前に喉の調子がおかしくなって口にした飴は考えられない。飴は舐めても噛んでも飲み込むって事がほぼないから毒は口に残る」
と目を細めた。
「ただ自然死でない以上は井上探偵が事件だと主張したことに関して立会人として制止することはできなかった」
財前理人はチラリと坂本蒼矢を見た。




