もう一人の捜査立会人 6
天加は「いや、友人じゃないし」と的場哲二との関係の事を突っ込みつつ、棚と机が立ち並ぶフロアの奥へ向かう財前理人の後について足を進めた。
後ろには自分をどうやってなのか分からないが追いかけてきた的場哲二と恐らく衝突しているだろう探偵の井上昭二が同じようについてきている。
事件の被害者の遺体が発見されたのはそのフロアの奥の机の上であった。
隣の女性が食べようとした幕の内弁当に手を突っ込んで絶命していたのである。
財前理人はその幕の内弁当や机の近くのゴミ箱や周囲の遺留品や指紋、ゲソ痕などを現在も採取している鑑識と、現場にいた職員から聞き込みをしている刑事を見回した。
「死亡状況と社内関係、それから、彼の周囲の人間関係……家族関係なども詳しく聞いていただくように」
捜査立会人として警察の聞き込みの甘さを指摘しながら天加達の方に向くと
「この机は今回の変死した真中達也の席だ。中野中央警察署の刑事達の聞き込みは、まあ……セオリーを守ったものだ。立会人として追加を指摘させてもらったが」
と告げ
「真中達也は隣の席の女性社員である上田英恵から飴を貰い口に入れた途端苦しみだして彼女の弁当の刺身に手を伸ばして絶命したそうだ」
と白いテープの側に落ちている飴と弁当を指さした。
それに井上昭二がカメラを撮りながら
「そうそう。食べた瞬間に真中達也は彼女が飴に毒を仕込んだことに気付き手を伸ばして絶命した。犯人は上田英恵だ!」
と告げた。
それに壁に押しやられて立っていた社員の中の若い女性が蒼褪めて
「ち、違います!! 飴は真中さんが喉の調子がおかしいって言うから渡しただけです!」
と叫ぶように告げた。
彼女が上田英恵であった。




