もう一人の捜査立会人 5
そのフロアを借りていた弁護士事務所のスタッフの一人が遺体となって発見されたのだ。
管轄の中野中央警察署の刑事が調べている最中にその弁護士事務所に呼び出されていた探偵が中野中央警察署の刑事と衝突したことで担当の捜査立会人が呼び出しとなったという事だ。
天加は12階建てビルの12階にある問題のフロアに姿を見せ、警備についていた警察官に会釈しながら入りかけて背後から飛び掛かられて前のめりに倒れかけた。
「この俺サマの千里眼を馬鹿にするんじゃねぇぞ」
天加は驚いて振り向きニッと笑って携帯を構える的場哲二を見て
「的場探偵!」
と声を上げた。
「まさか、また推理衝突を」
的場哲二は顔を顰めて
「はぁ!? 的場探偵って言ったのは褒めてやるが違うからな!」
とビシッと指をさして告げた。
「俺はお前とほぼ同時に来たんだぞ。俺の訳がねぇだろ。今日はじっくりと学ばせてもらう」
態度は不遜だが言っていることは意外と謙虚であった。
天加は冷静に
「あ、いや。今日は顔合わせ」
と手を横に『ないない』と振った。
的場哲二は「は?」と目を見開いた瞬間であった。
二人の人物が姿を見せた。
「いやいや、学ぶなら真の探偵である俺からだろ? 俺は井上昭二だ。まあネット界隈じゃ知られた探偵だな」
天加は同時に
「誰かを見ているようだ」
とチラリと的場哲二を横目に心で呟いた。
それにもう一人の若い青年がフゥと息を吐き出すと
「俺は捜査立会人の財前理人だ。推理はしない。事件なんて99%きっちり調べて見落としが無ければ分かるものだ」
と無表情で告げた。
「もっとも今回は残り1%の可能性があるがな」
……捜査立会人の天埜君と友人さん、こっちだ……
そう言って世名を見ると会釈をして足を踏み出した。




