動き出した闇と相棒 13
天加はそれに冷え切った視線で彼を捕らえ
「その前に探偵と名乗る以上は自分を恥じるべきだろ」
と足を向けて前に立って見下ろした。
「お前が無責任な野良探偵じゃないと思うのならレッドヘディングに惑わされた自分を恥じろ。危うく冤罪の汚名を着せられそうになった杉尾公男さんに謝罪すべきだろ」
……これで杉尾さんが本当に冤罪のまま裁判所の被告席に立つことになっていたらお前はこの程度じゃすまなかったからな……
「現場に異様なものがあるからと言ってそれが全て天の恵みと言う訳じゃない。犯人がレッドヘディングするために業と置く可能性もある。それを見抜くのが探偵なんじゃないのか!」
佐藤美見も朝井紀夫も沈黙を守って天加に目を向けていた。入ってきた時とはまるで別人であった。
的場哲二は天加の発する強い威圧感に固唾を飲み込み知らず知らずの間に一歩、二歩と後退った。
正論ではある。
的場哲二は顔を真っ赤にしながらも唇を噛み締めると杉尾公男の前に進み頭を下げた。
「申し訳ありませんでした!!」
くそっ! くそっ!
杉尾公男は息を吐き出して
「……大事にならなかったので……」
と視線を逸らせながら告げた。
的場哲二は天加の前に行くと
「確かに……いやだがお前の言う通りの部分もある」
と言い
「だが、俺はお前以上の探偵になってやる」
と指をさして宣言した。
「そのためにお前に付き添わせてもらうからな!!」
……。
……。
ん? と天加も佐藤美見も朝井紀夫も誰もが首を傾げた。
天加はフムッと考えながら
「普通は吠え面かくなよって去っていくんじゃ」
と呟いた。
的場哲二は腕を組むと
「ふざけんな! 俺は探偵だ。お前の技術を盗んで更に上を目指す」
と告げた。
能力は別として意外と前向きの探偵であった。




