動き出した闇と相棒 6
佐藤美見と朝井紀夫も顔を見合わせてふっと笑みを交わした。
事情聴取を終えたばかりの加藤忠司と杉野公男と河野翔一と管理人の須藤朋美は顔を見合わせて立ち尽くしていた。
どうしたら良いのか分からなかったからだ。
天加はすんなりこちらの意見を呑んだ的場哲二に
「んー、探偵チューバ―でも常識があるんだな」
と考えながら
「それでお願いします」
と答え
「じゃ、始めてください。俺は聞きながら状況をみますので」
俺の事は取りあえず気にせず、捜査バトル! どうぞ! というと周辺を見始めた。
……。
……。
的場哲二は顎が外れそうになるほど口をぽかんと開けて
「はぁ!?」
と声を零した。
いやいや、捜査バトル、どうぞって言われて「はい、始めますってできるか!」と心で叫んだ。
正に空気読め! である。
他の加藤忠司と杉野公男と河野翔一たちも同じであった。
さすがの佐藤美見もこうレフリーのように合図を送られてもどうしたらいいのか分からず軽く咳払いをした。
静寂が広がり天加は
「やらないのか?」
と思いながら遺体の周辺やLDK内を歩き始めた。
違和感をもったのは遺体の周辺の血であった。
天加は玄関に向かい先ほど通ってきた場所を再度ゆっくりと歩いて遺体の周辺の血痕の状態をじっくりと見た。
そして、遺留品採取をほぼ終えた鑑識に声をかけた。
「玄関口からここまでのルミノール反応を調べてください」
それに鑑識は冷静に
「それに関しては調べました」
と返した。
「視認できる血痕の場所以外にルミノール反応はありませんでした」
天加は頷いて
「遺体の死斑とかは」
と鑑識に聞いた。
鑑識は「ああ」というと頷いて
「仰向けに倒れていたので背中にありました」
と答えた。
天加はフムッと考えると
「他に死斑は? 例えば側部とか。異常とかは」
と聞いた。
鑑識は首を振ると
「ありません。典型的な刺殺されて仰向けに倒れた際の死斑状態でした」
と答えた。
天加は「ありがとうございます」と答えると推理バトルをしていない佐藤美見と的場哲二をみて息を吐き出した。
正に広がる静寂である。
「最初の現場ではガンガンやっていたけど……どっちが普通なんだろう」
そう考えながら 天加は佐藤美見を見ると
「じゃあ、被害者の死亡時間を中心に昨日からこれまでのアリバイを皆さんに聞いてください」
と告げた。
「皆さんはもう聞かれているんですよね?」




