動き出した闇と相棒 5
状況は運転していた三田警察署刑事課強行犯係の一人である大村大平から報告を受けた。
「それでこちらの警察側と自称探偵の射場哲二の見解が違っているので立会お願いします。桐谷警視正に連絡を入れましたら他の区域の方で忙しいので直接迎えに行くようにと仰せつかりました」
天加は桐谷世名が来なかったことに驚いたものの
「こういう時もこれからはあり得るんだな」
と考えながら
「はい」
と答えた。
それにあっさり自分を三田警察署に託したという事は彼が信頼を置いているという事なのだろう。
天加は何となくそう理解した。
「しかし、警察と探偵の見解の相違って良くあるんだな。前回は双方が結託していたから見解は一致していたんだけど……警察側から見解の違いから要請が来ることもあるのか」
何といってもまだ二回目なのだ。
分からない事ばかりである。
「けど、警察も探偵もフラットに意見を聞いて判断し……真実が明らかにされているかどうかを俺は判断するだけだ。真実の追及のみに俺は注視する」
天加はそう自分に言い聞かせて真っ直ぐ前を見つめた。
事件現場のカリコ田町マンションに到着すると天加は大村大平に案内されて206号室の中島幸次の部屋へと入った。
玄関入って直ぐに水回りがありそれと連なるように広々としたLDKがあった。
そのLDKの中央で中島幸次は刺殺状態で発見された。
大村大平は玄関を上がると
「先ず、戸の施錠はされていませんでした。それで我々は犯人が中に入って殺して去っていったと判断しました」
と説明を始めた。
天加はそれに静かに頷いた。
大村大平は更に
「ただ遺体の足元には草や土がついており我々もそれには疑問を覚えました。しかし、現場の血痕の状態からやはり現場はこの場所ではないかと判断しましたが、ただそこに押し入ってきた自称探偵の射場哲二が遺体の現場は別で運んできたと録画しながら流したことで捜査立会人の要請を佐藤係長がかけました」
と告げた。
天加は大村大平に概要を聞き終えLDKの中へと足を踏み入れた。
佐藤美見は天加が姿を見せる寸前に的場哲二が録画状態で手にしていた携帯を奪うと録画を止めた。
「君の立場も考え、第三者立会で捜査をするのでSNS垂れ流しは止めてもらう」
的場哲二は顔を顰め
「はぁ!? それでも警察の人間だろうが! 表現の自由を邪魔するのか!」
と威嚇した。
それに天加はスッと手を上げると
「初めまして、捜査立会人の天埜天加です。SNS即流しで無ければ録画は構いません。但し、顔出しについては写さないかモザイクにしてください。そうでないと肖像権侵害で訴えなければならなくなりますから」
俺は大学生ですから、と告げた。
的場哲二はハッとすると口元を歪めて
「へーへー、わかりました。録画はするがSNS垂れ流しは止めておく。モザイクと声を変えればいいんだろ」
と答えた。
天加は驚いて的場哲二をみた。
SNS探偵と言うのはインプ稼ぎで常識がないと勝手に思っていたのだ。




