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捜査立会人 ~オブザーバー~  作者: 如月いさみ
捜査立会人 ~オブザーバー~

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捜査立会人への誘い プロローグ 6

 明るい陽光が少し赤みを帯び始めた頃、一人の男が姿を見せた。

 顎に無精ひげを生やし目尻の下がった冴えない男であった。

「邪魔するぞ、桐谷。何か俺に話があるって?」


 世名は男に目を向け

「……坂本警部、現場直行で悪いな」

 と呼びかけた。


 坂本蒼矢はハハッと笑うと

「いいさ。それで彼が……噂の天埜天加君か。捜査立会人候補の」

 と意味深に天加を見た。


 天加は調書に落としていた視線を上げると

「え?」

 と目をぱちぱちと見開いた。


 世名は坂本蒼矢に釘を刺すような視線を一瞬向けて直ぐに天加を見ると

「いや、その事件を担当した刑事で呼んでおいた。現場をよく知る奴がいた方がいいだろ?」

 と答えた。


 天加は笑みを浮かべると

「ああ、ありがとうございます」

 と答え

「改めまして俺は天埜天加です。あの、お名前をお聞きしても?」

 と問いかけた。


 坂本蒼矢は天加の前に座り

「俺は品川西警察署刑事課の人間だ。名前は坂本蒼矢。桐谷とはちょっとした知り合いでな。練炭事故の初動を担当したってことで呼び出されたんだ」

 と告げた。


 気を利かせてくれたのだ。


 天加は手にしていた調書を置くと

「坂本警部、ありがとうございます」

 と言い

「早速なんですが、この事件に関して警察も探偵チューバ―の小和泉って人も答えに辿り着いていない事だけは分りました」

 と言い、世名を見た。

「それで本当の犯人もわかったんですけど」


 世名はそれを聞くと一瞬目を見開いたものの笑みを浮かべた。

 坂本蒼矢は反対に「え!?」と驚いて天加を見た。


 本当なのか? はったりなのか? と迷いどころである。


 坂本蒼矢はう~むと唸りながら

「現場の写真や遺留品は確認したんだな?」

 と調書を捲り現場ロッジの写真を数枚広げると指さした。


「先ず、ロッジの窓は全て締め切り……扉は管理人が開けるまで閉じられていた。鍵は奥の対面式カウンターの上に置かれていた。スペアは管理人が全てのロッジの鍵と共に管理していて無くなってはいなかった」

 と告げた。


 写真を見ても窓は締め切られていた。


 ロッジはLDKの作りで玄関から入ると広々とした空間が広がりその中央にバーベキューコンロがあった。上には網が置かれ焼肉をしていたことがわかった。

 床には唯一助かった海津隆夫が吸っていた小型酸素ボンベと使われていない4つのボンベが転がっていた。


 ただ、それだけであった。

 あとはコンロの周辺に彼ら5人が倒れていただけである。


 完璧な密室と言うことだ。


 坂本蒼矢は更に

「指紋も第三者のモノはなかった。警察は探偵チューバ―が考えたように海津隆夫が4人を殺し自分だけ助かるためにあの位置にいたとは考えなかった。理由は4つがそれぞれ倒れている人物たちの側に転がり海津隆夫のボンベは0を切っていたからだ」

 と告げた。


 天加は頷いた。

「俺もメモリがゼロだったのでそうだと思いました。それに床に散らばっていた4つは満タンだった。彼は意識が無くなる前に他の面々にばら撒いたんだと俺も考えます」

 

 坂本蒼矢は頷いた。

 世名は沈黙を守って事態を静観していた。


 天加は坂本蒼矢と世名の二人を見て

「だがこれは事故ではなく事件です」

 と言い切った。


 坂本蒼矢は天加を見つめ

「何故?」

 と聞いた。


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