捜査立会人への誘い プロローグ 2
数日後、東京都内にある東都大学法学部の講義室で声が響き渡った。
「天加! 天加!! 事件だ、一大事!!」
天埜天加は講義室の一角に座り耳に指を突っ込みジト目で駆け込んできた親友の花畑友視を睨んだ。
大学一回生にして大目立ちである。講義を終えたばかりの同期の学友たちが挙って視線を向けてきた。
飛んでもハップン歩いて十二分である。
天加はドカーンと抱き着いてきた友視のタックルを受けながら冷静に冷めた表情でタブレットと教科書とノートをリュックサックに入れながら
「……いや、俺。ただの法学部の学生だから事件と言われても」
探偵じゃないし! なりたいとも思ってないからな、とさっぱり答えた。
親友の花畑友視は東都大学付属中学からの親友で事件体質らしく何処からか事件を拾ってきては届けてくるという……あまり嬉しくない関係であった。
「友達としては気が良くって明るくって良いんだけど……事件をしょっちゅうひっさげられてもなぁ」
というのが天加の正直な気持ちである。
友視は息を切らせながら天加の前に立ち興味津々に見てくる外野を無視して綺麗な笑みを浮かべた。
「天加が法学部の学生で将来探偵を目指しているって言うのは分ってる。そして俺の困りごとも助けてくれるって言うのも分かっている」
あほか―――! わかってねぇだろ! と天加は心でげんこつ一発くらわせて突っ込み
「いやいや、俺は法学部を出て国家公務員総合職の試験受けるから」
と告げた。
「将来は警察庁の警察官僚だから」
そう付け加えた。
友視の『将来探偵』という言葉で「そうなのか!?」とガン見していた他の面々も天加の『警察官僚』という言葉に「なるほど」と納得して事態の行く先を見守った。
言わば高みの見物、物見遊山と言ったところである。
天加の言葉に頷きながら花畑友視は腕を掴むと
「OK! わかった! じゃあ、ついてきてくれ」
と駆け出した。
天加は引き摺られるように足を踏み出し
「わかってない!」
と叫びつつも振り払うことは出来ずに東都大学法学部の学部内を駆け抜けた。
12歳の時に両親が殺された。
しかし、当時の警察官僚に死は事故として隠蔽され当時17歳だった兄の天埜翔が3年の歳月をかけて真実を明らかにした。
だからこそ隠蔽や不正などをさせない警察官僚になろうと今奮闘している。
何処かの私兵のような警察ではなく。国民を法を持って正しく守っていく警察官になる。
それが天加の夢であった。
だが現実は親友の友視に探偵代わりとしてこき使われている。
「本当に溜息しかでない」
天加は大学の医務室に入りこの部屋の主である浅見慎二を見た。これまで何度か顔を合わせたことのある人物であった。
「花畑に探偵相談室として医療室を貸し出しているんだよな、この人」
天加はフゥと息を吐き出しながら心で突っ込みベッドが二つ並ぶ治療室の手前にある広々とした空間の丸いテーブルの椅子に腰を下ろした。
椅子は4つあり他の一つには既に東都大学の大学生らしい人物が座っており、もう一つに友視が座った。




