捜査立会人 12
天加はDVDを早送りして1か所で止めると
「なるほど、だから隠されていたのか」
とテレビから視線を背後の面々に向けると
「本当に……クソですね。万一、事故になったとしても第二の殺人を起こせばいいってだけですか? それは事故死ですか? それとも自死ですか?」
と近本忠雄と田村健を見た。
近本忠雄は「おい!」と怒鳴った。
天埜天加は探偵と刑事が向き合う中でスッと手を上げると
「捜査立会人の権限で警察に指示を出します」
と告げた。
……今すぐ、DNA鑑定をしてください……
「大森洋介君と『大森君子』と名乗っている女との親子鑑定です」
湖面を打ったように静寂が天加を中心に広がり全員が彼を見た。
天加は動かない近本忠雄を始め警察官たちに向くと
「捜査立会人は警察の上にある! 動け!!」
と強い口調で怒鳴った。
「それともできない理由があるのか! 誰かの私兵で無ければ動け!!」
それに近本忠雄がハッとして周囲を見回して蒼褪めたものの
「な、にを」
と言いかけた。
瞬間であった。
天加を後押しするように世名がふっと笑みを浮かべた。
「近本刑事、急げ」
……捜査立会人は警察庁長官にも指示を出せる……
「俺の手帳を見せなければ動けないか?」
それこそが警察の第三の目。
探偵の探偵。
警察法人捜査立会機構の特徴である。
近本忠雄はグッと拳を作ると桐谷世名の方に向いて一礼し、現場採取をしていた鑑識班に指示を出した。
「DNA鑑定を……するように」
世名は戸惑う鑑識達を見ると先ほど大森洋介の部屋に飾っていた写真を出して
「飲み物やモノを手にする時の利き手が違うんだ。まあ、写真だけじゃ確実じゃないが動画を視ろ。哺乳瓶を開けている大森君子をな」
と興信所の写真とテレビを交互に指さした。
「本物の大森君子の行方もこの男とこの女から聞き出してもらいたい」
……急げ!! ……
「それにそこの探偵って奴からも詳しく話を聞く」
近本忠雄は蒼褪めつつも逃げかけた大森君子を掴まえ手錠をした。




