探偵塾始動 5
……人権擁護とは人が本来持っている自由と尊厳を守ることだ。犯罪者は既にそれを他者に対して害しておりその罪を隠蔽することが人権擁護ではない! ……
「ザイ・カヤとモーリス・チェンが罪を犯していないと貴方が信じるのならば弁護士として指紋採取を率先して認めるべきだった」
大間正明は顔を歪め
「そんなことを警察が認めているのか?」
と告げた。
止々呂美修也は息を吐き出しアル・カヤ、大間正明、岩尾としおが会合している写真を見せ
「そろそろ、岩尾警察庁長官には勇退していただこうと思っている。正義を捻じ曲げる警察官は警察に必要ない」
と告げた。
……それが警察庁長官でも同じだ……
「階級など関係ない」
大間正明は蒼褪めるとがっくりと椅子に座り暫くの沈黙の後に
「わ、わかった」
というと立ち上がった。
漸く、ザイ・カヤとモーリス・チェンの指紋採取が正式に行われることになった。
カヤ土建の社長室にいたザイ・カヤとモーリス・チェンは即座に警察官を殴り逃げようとしたが止々呂美修也と坂本蒼矢、他の警察官に逮捕され指紋採取の上で松田貴子と山形優一の事件の取り調べが行われることが決まった。
翔は津村清也に塾の内容とコンセプトを見せている最中に報告に現れた津村清也の秘書から聞き安堵の息を吐き出した。
津村清也は笑みを浮かべ
「君の両親の事件もこれで真実が明らかになるだろう」
と告げた。
「天埜翔也は真面目で正義感の強い男だった」
『本当』の人権擁護と社会正義の実現を考える人物だった。今の弁護士は弁護士ではなく弁護屋で人権擁護と言う言葉を上辺で利用して金儲けをしようとしている人間ばかりだ。
津村清也はそう言い
「大間正明もだが……本当の弁護士がいなくなっている」
とも告げた。
そして翔の持ってきた書類を渡し
「この塾に関する費用は私がもとう。その代わり依頼をこれまで以上にさせてもらう」
と告げた。
翔は頷くと
「警察を監視する正義を失わないもう一つの目としての探偵を作っていきます」
と答え立ち上がった。
翌日、翔は自身の配信チャネルで塾生を公募したのである。
応募は100人以上あり、その中からテストとネット面接を得て12名を選択した。
上は32歳から下は16歳の幅広い年代の男女であった。
彼らが正式に探偵チューバ―デビューをするのは半年経った後だが高校生探偵として既に力を付けていた財前理人と安積啓達は一歩先に依頼を受けて事件に挑むことになった。
それは止々呂美修也と坂本蒼矢の関わる同時に起きた二つの事件であった。




