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現代

「せんきょ…? どんな武器だ、それは? 鉄砲よりも強いのか?」


「あ、いや、これを話すと長くなります。それよりも私の夢は信じていただけるのでしょうか?」


「真偽は別にして面白いとは思う。とくに未来の日の本の話はまだまだ聞きたいことがある」


「そのような夢を見たということを信じたとしてもそれが本当に起こることなのかはわかりますまい。孫七郎殿は数百年後の未来を見てきたと確信しておられるようですが」


 確かにそれを証明するのは難しいよね。どうやったら信じてもらえるかな。そして仮に信じてもらえたとしても本当に歴史通りのことが起こるのかはあたしも確信がないし。


「未来を見てきた証としてこれから起こることを言い当ててみせたいのですけどそれが明日なので…」


「当たったときにはもう手遅れだな」


「なにか孫七郎殿が知り得るはずのない秘密などを夢で見てきたりはしませなんだか?」


「秘密ですか、う~ん」


 ないなあ。個人的なBL本の隠し場所とかは意味ないし。


「では別に気になることを。未来で見てきた記録では孫七郎殿は記憶を失っていないとおっしゃっておられたがそれも記録に残っていたのでござるか?」


「いえ、それはおそらくです。記録では彼は大将になっていてそして大敗します。記憶は失っていないものと思います」


 大将(大勝)なのに大敗とはこれいかに。


「お前が大敗したのになんか他人事だな。彼ってお前だろうが」


「ですね。記憶を失ってるので自分自身を他人のように感じてしまいます」


「つまりその未来は今のこの時とは少し話がずれているということにござるか?」


「その可能性が高いです」


 池田おじさんがパラレルワールドの概念にたどり着きそう。


「記憶を失わなかった場合の未来でござるな?」


「はい。なので同じことが起こるかは実は確信が持てないでいます」


「お前が確信持てなきゃ俺らはどうやって信じればいいんだよ。まずお前はなんで見た夢が数百年後の未来だって思ったんだよ? そんときの元号はなにで何年なんだよ?」


「令和5年ですね」


「いやよく考えたら元号聞いても何年後かわかんねえわ」


 そうそれ、西暦と違って扱いづらいところ。


「記録を見たとおっしゃったがどうやって見たのでござるか? 歴史書の巻物でも読んだのでござるか?」


 いや確かにウィキペをスクロールしたけど、巻物(スクロール)は読んでない。


「読んだといっても巻物ではないです。光る板を読んだというか」


 パソコン画面をなんと言い表そう?


「木簡が光るのでござるか?」


「いや木簡ではないのです。まずひとつ誤解をなさっておられると思うのです。私が見てきたのは400年後くらいの未来ですが今とは世界がまったく違います」


「なんだ世界が違うって。たとえば兵士はみな鉄砲を持っているとかか?」


「ああ、それはそうです。よくわかりましたね」


「日の本での鉄砲の普及速度を見ればそれくらいは予想の範疇だろう」


「ですが他にもまるごと違います」


「まあ武家でも公家でもないものが支配しているという時点で大きく違うか。ちなみに岸田殿は官位は貰っているのか?」


「え、官位ですか?」


「日の本を支配しているならそれなりの官位を朝廷からもらっているだろう?」


「まず朝廷がないです」


「「は!?」」


 2人は大きく反応する。ちょっとビックリポイントだったらしい。


「嘘つけ、お前さっき元号を言っただろうが。朝廷が滅ぼされて別の者が元号を定めているのか?」


「いや滅ぼされたわけではないのですが…」


「じゃあなんでないんだよ?」


「自然消滅したというか」


「え、朝廷ってずっとずっと前からあるけど自然に消滅するものなの?」


「ミカドはどうなさっておるのです? 家が途絶えたのでござるか?」


「いえ今でもいらっしゃいます」


「今というか未来のその時ですな」


「あ、はいそうです」


「なら朝廷も続いてるじゃねえか。ミカドがいるところが朝廷だろう」


「そうなんでしょうか」


「岸田殿だってミカドから位を貰っているのではないのか?」


「いや官位は貰ってないですけど…。 あ! そういえば任命されてますね。ミカドから。政の役目を」


「やっぱり官位貰ってるじゃないか」


「え、でも任命と言ってもあくまで儀式的な話ですよ。選ぶのは別の人というか」


「それは今でも同じだろう。征夷大将軍だってミカドが選んでいたわけではないが位を与えるのはミカドだ」


「たしかに」


「で、なんという位なのだそれは」


「官位ではないと思うんですけど、総理大臣って言います」


「大臣ならやはり朝廷の官位ではないか。きっと今でいう太政大臣だろう? 太政大臣がいるならそこが朝廷だろう」


「ええ、私もよくわかんなくなってきました」


「あんまり世界変わってないのでは?」池


「いやめっちゃ変わってますから!」



「例えば今から400年前というと源平合戦のころでしょう。そこから比べると今は変わっておりましょうが、400年後もそれくらいの違いでござろう?」


「そんなもんじゃないです」


 確かに時間に比例して時代は変化すると予想したら400年後も大して変わってないように予測できる。


「戦ばかりしているのは400年前とあまり変わってなくないですか、親父殿?」


「たしかに。室町殿のころも鎌倉殿のころもその前も戦は多かったと聞いている。あまり変わってませんな」


「それが400年後はめっちゃ変わるんです」


 なんか私テレビショッピングのセールスマンみたい。何を売りたいんだか。


「戦がないのでござるか?」


「はい。それはもう自信を持っておすすめできます」


 セールスマンか。


「日の本が統一されてるからにござるか?」


「そうです」


「では諸外国との戦は?」


「80年近くないです」


「ほ~!」


「そりゃ武家はいらんな」


「戦がまったくない世界なのは羨ましいですな」


「そうでしょう。そうでしょう」


 現代の良い部分を認めてもらえて私もなんだか鼻が高い。


「あ、でも日の本以外の遠くではどこかで必ず戦は起こっています」


「やっぱり変わってないではござらんか」


「そこはすいません」



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