3人目
天守閣の南側のベランダに移動した。絶対ベランダって名前じゃないけど。
「あれが小牧山だ」
「近いですね」
岐阜城よりはるか近くに見えた。そのまわりには支城や砦がわんさか見えた。こちら側にも城や砦があちらこちらに。
鬼武蔵さんが地図を示しながら言った。
「そこにある楽田城周辺にはすでに別働隊の軍勢が集結している。池田の親父殿ももうそちらに移動した。日が落ちないうちに俺たちもすぐに行く。歩いて一刻かからない距離だ」
8キロ弱ってことかな。
「そしてこの楽田城から今晩出陣して小牧山の東を迂回。大留城を占領する。大留城で準備を整えたのちに岡崎城に向かう」
「この岩崎城は?」
「この城は敵方だが通り抜けでよいだろう」
犬山城
楽田城
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小牧山城 ┛
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大留城
上条城
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岩崎城 ↓
↓
↓
↓
↓
↓
岡崎城
「この城はなんと読むのですか? かみじょうじょう?」
「上条城。この城も取る」
「はー、じょうがいっぱい」
スタンド使いが籠もってそう。
「ここにおられたか」
そんなとき天守を上がってきた若武者が私たちに声をかけた。まだ大学生程度の若者だ。
「おう、元助」
「武蔵の兄者、孫七郎殿、お迎えにまいった」若武者
「孫七、この者は俺の弟だ」
「あ、弟さんですか」
「そしてお前の兄でもある」
「ん? あ、わかった。また娘婿なんでしょ? 池田さんとこの?」
「いえ、わたくし自身が池田にござる」若武者
「ん? あ、実の息子さん?」
「はい。池田紀伊守が嫡男。池田元助と申す」
「本名はなんというんですか?」
「本名が池田元助にござる」
「あ、そうなんですか。失礼しました」
「言いたいことわかるぞ。元助が本名っぽくなんだろ?」
「え、あ、はい。でも…」
「遠慮はいりませんぞ。よく人に言われます」
「それに鬼武蔵さんも本名で呼んだし」
「公の場以外では兄者にはそう呼ばれています。本名っぽくないとのことで。内緒ですぞ」
「あら」
そういう間柄ですの?お二人は。 あらやだわたくし、お邪魔かしら?
3人目いらっしゃるじゃないの、鬼武蔵さん。
「記憶をなくされている件は聞いております。楽田城へは私がご案内いたします。それでは、参りましょう」
出発にあたってまず馬に乗るのに手間取った。あぶみに足をかけてもなかなか乗れない。
「すいません。鬼武蔵さん、お尻押してもらえますか」
「お、お、おう」
なんとか手伝ってもらって馬に乗り私たち一行は城を出た。少しの供回りを連れているが誰も鎧は着ていない。
「あれ、鎧着ないんですか?」
「ここの周辺は我らの砦で固めてあります。危険な地域に差し掛かるまでは鎧は着ません」元助さん
「普通そうなんですか?」
「はい。通常の行軍でも同じです。戦地に着くまでは鎧は外して馬に運ばせます。重くて暑いですゆえ」
「へえ~」
意外。
「あとそれと兵隊さんたち、槍を引きずって運んでますけどそんなもんですか?」
「そんなもんです」
「そういえばお名前なんとお呼びすればいいでしょう? お兄様?」
「はは、こそばゆうございますな。元助とお呼びくださってかまいません」
「それだと馴れ馴れしいから助さんはどうですか?」
「助さん、良いですね。気に入りました」
「あと名前に格という字が入っている人いませんか? いたら揃うんですけど」
「何がですか?」
「なんとなく縁起の良さそうな名前が。 そうだ。鬼武蔵さんのことこれからは格さんって呼んでいいですか?」
「また意味分かんないこと言い出した。 …かわいい」
「え?」




