もう!
「そんな、24時間戦えるチンポだったなんて」
孫七がわけわからんことをのたまっているが俺は事態を整理するのでいっぱいいっぱだ。
この戦国の世において武士の間では男と男の関係というのはありふれたものだ。自分の小姓や家臣と関係を持つ武将は珍しくない。
だが俺は男とまぐわったことなどないし興味もない。当然孫七に対してそんな感情を抱いたことはない。初見で小便合わせ仕掛けてくるような奴だ。単にかわいい弟としか思っていない。さっき襲おうとしたのも記憶喪失を確かめるための芝居だったのは本当だ。
何かがおかしくなったのは手を掴んだ時。「きゃっ!」と叫ばれたあの反応に、不意にかわいいと思ってしまったのだ。弟分とは違うかわいいで。
俺は内心うろたえてなんだか恥ずかしくなってさっさと服を着ようと思った。立っていることは池田の親父殿に指摘されるまで気づかなかった。なんとか常時勃起状態ということにしてその場をやりすごした。
それから少し落ち着いてきたがまたおかしくなったのは、納豆大会のあと俺と親父殿のやりとりを見てこいつがクスクス笑っていた時。目を奪われて気づいたら鼻先三寸の距離にその顔があった。体が勝手に動いていた。ちっか!と思った。恥ずかしさに顔をそらしたかったがこちらから近づいた以上なにか述べねば不自然だ。そして出てきた言葉が、「遊びじゃねーんだぞ、納豆取り出し大会は」という意味不明なものだった。
親父殿が反応くださったからこれはいい機会と顔をそらしたが、なぜか再び孫七の方を向いてしまった。孫七に意見を求めてしのいだ。
厠についてきたのも役目としては当たり前だがそんなこと考える前に正直勝手に足が動いた。なんでついてきたかと言われてとっさに理由が連れションしか思い浮かばなかった。
そして今だ。またおかしくなったのは。もうなんなんだよ、お前は!
両手を口に当てちゃってさあ! あらまあ!みたいな反応して。それが武将の振る舞いか!? お前一応それでも2万石の大名だろうが! ふざけてんのか? かわいいな、もう!
「さあ、これでわかったな」
「はい」
「じゃあさっさと用を足せ。あとが詰まってんだ」
「あ、ちょ待ってください」
出ていこうとする俺を引き止めてくる。
「なんだ? もうわからせてやったろう」
「先に小便してください。私があとから大の方します」
「なんで?」
「大きい方したあとすぐに他人に入られたくない。臭いが残ってるから」
「乙女か。お前は」
そんなとこもカワイイ。




