大垣城主13万石
「ば、ばかな。1粒も残さず一瞬で納豆を取り出した…だと? こ、これが美濃国大垣城主13万石の実力…」森
「ほら。そこ。取り出せなかった5粒はちゃんと箸で全部取り出しなさい。お父上、お母上に教わらなかったのですか? この紀伊守、お残しは許しませんよ」
「あ、はい」森
「はあ…。6人中5位とは。名高き鬼武蔵と言えど納豆取り出し能力はこの程度であったとは」
「うわあ、初めて聞く能力だあ…」森
「これも馬鹿にしてはならん。こたびの我ら中入り隊の目的はなんじゃ?」
「三河に侵入し、荒らし回ることです。あわよくば岡崎城を攻略する」
「うむ、そして最終目標は?」
「徳川領を脅かして小牧山城に立てこもる徳川軍をおびき出すことです」
「そうじゃ。我らの目的は徳川軍という納豆を城から取り出して1粒残らず食い尽くすことであろう」
「あっ」
「納豆もうまく取り出せんやつが敵を城から引き出せるか?」
「そんな深い意図があったとは……」
「いや今とっさに思いついただけだけど」
「ですよね」
「うん」
「絶対、戦と関係ないですよね、納豆取り出し能力」
「うん。絶対関係ないよね」
クスクス。
つい笑いがもれてしまった。
「なんかウケとるんじゃけど」池
「すみません。つい」
笑ったことに対して池田さんは好意的だったが森さんはそうではなかった。
森さんがガン付けてくる。しかもこっちに寄って顔を近づけてきた。鼻の前10センチでメンチ切ってくる。
ひゃぁぁぁ~、この人完全にヤンキーだよぉ。
「あ? なに笑ってんだ、てめえ」
「あ、す、すいません」
「こら」池
イケおじが森さんを引き止めるように声をかけるも森さんはかまわない。
「遊びじゃねーんだぞ、納豆取り出し大会は」
「え、これ遊びじゃないの?」主催者
森さんは振り向いて池田さんに言う。
「いやまず親父殿。これもらった藁納豆によっても結果が大きく左右されませんか?」
「言い訳は男らしゅうないぞ。実力がすべてじゃろう」
「孫七はどう思うよ?」
またこっち向いた。目の前10センチで質問される。
近いて。こんなんキスする距離だよぉ。
したことないけど。
「え、えっと。ほんとに綺麗で早かったですもんね、お父上。最下位の私からすると神の領域です」
「いやいやこんなのただの運にございますぞ。それに孫七郎殿は忘れておられるので初めてやるようなものでござろう。うまく出来なくて当然。しかもこんな能力なんの役にも立ちませぬ」
「親父殿、立ち回り上手くない?」
食事について少々。
納豆は冷蔵庫に入ったパック入りのと比べて臭いが強めだった。常温だからだろうか。昨日仕込んだばかりでまだ新しいという。
そして驚いたことにこの納豆は日持ちがしないとのこと。時間が立つほど臭いがきつくなりいずれお腹を壊すレベルになると。
納豆って保存食じゃなかったんだ。
豆を保存したかったら乾燥大豆のままか、煎って粉にしてきな粉にするのがいいと。納豆は水分が加わっているのでそのままでは長期保存できない。
米はまた雑穀米にしてもらったけど炊きたてだった朝と違って冷えていた。炊飯は朝だけらしい。現代人だって朝炊いてあとは保温か冷蔵庫ってことも多いしね。
暑い季節となると昼食の雑穀米がもう匂うらしい。雑穀米は白米よりも足が早い。白米が人気なのはそれも大きいとのこと。
2人は米に味噌汁をかけて食べていた。すごくいい技だと思った。私も真似した。




