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第6話 妖精のルール、お爺さんの謎センス

この作品は、私が載せている別の作品『未希へ届け!』の中に出てくる作中小説です。気に入っているのですが、『未希へ届け!』は長編なので、かなり読み進めないと『幻想の森のラクラミキオアラ』まで到達しません。なので、独立した別作品としても載せておくことにしました。楽しんで頂ければ幸いです。

「よし!これで、とりあえず大丈夫!」

 ラクラミキオアラは安堵した様子で笑顔を見せた。そして、

「で、これからどうしよっか?ツルモ君はもう歩き疲れたよね?今日は私の棲んでいる場所まで行くのはやめて、ここでお話しよっか?」とツルモに訊いた。

「それを決める前にちょっと訊きたいんだけど、君のような妖精が棲む場所っていうのは、どうやって決まるの?」

「えっとね、基本的には、植物として生えた場所で決まるの。だって私たち妖精は、人間みたいな姿になったりもするけど、植物の姿にも戻るでしょ?違う場所で植物に戻っちゃったら、人間が見たときに『あれ?ここに生えていたすずらん、どこ行った!?』ってことになるでしょ?それはマズイからね、やっぱり!キャハハハハハ!」

「なるほど!『基本的には』ってことは、例外もあるの?」

「うん。たまに、植物の妖精にも不良みたいな人がいてね。『別に人間だって、いちいち覚えてないでしょ、僕たちの生えている場所なんて!大丈夫!大丈夫!』とか言って、勝手に他の場所に引っ越しちゃったりするよ」

「アハハハハ!妖精にも不良がいるの?面白いなあ。ところで君って、本を読むのが好きなんだよね?それって人間が書いた本なの?本棚とかはあるの?」

「たくさん質問してくるね〜!キャハハハ!でも、大丈夫。わたし質問されるの、結構好きだから。あのね、本は、人間が書いた本だよ。あの、不思議なお爺さんいるでしょ?あの人、何でも出来ちゃうから、私が九歳のときに『あ〜あ、暇だな〜』って言ってたら、『これでも読んでみたらどうじゃ?』って、人間が書いた本を一冊くれたの。それはお爺さんが人間の家から盗んできたわけじゃなくて、不思議な力を使って作り出したものなの。人間が持っているものと全く同じ本をね。でもあのお爺さん、こんなこと言ったら悪いんだけど、センスがイマイチなのよ。たってさ、聞いてよ!当時九歳だった女の子の私に、『これはわしのオススメじゃ』とか言って、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を渡したのよ?読んでみたけど、難しいし、あのお爺さんより癖があるお爺さんが出てくるし、全然乙女心に響くような作品じゃなかったから、途中まで読んで『お爺さん、ごめんね。これ、名作なのは分かるんだけど、私にはちょっと…』って、苦笑いしながら返しちゃった。それで、『次はもうちょっと、乙女チックなやつ、お願いします!』ってリクエストしたの。そしたら!ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を持ってきてくれたのよ!読み始めて三日くらい経って、『どうじゃった?』とか言いながらお爺さんが現れたとき、私もう、抱きついちゃったわよ!『これ、最っ高!!』って言いながら!だけどその後もお爺さんのセンスは安定したわけじゃなくて、たまにフランツ・カフカの『城』っていうやつとか、何が言いたいのか乙女にはサッパリ分からない謎の本を持ってきたりしたけど、たまに、大当たりがあるのよ!」

 ツルモはラクラミキオアラの話を、大笑いしながら聴いていた。「うんうん、それで?」などと相槌を打ちながら、『この子、想像していた以上に面白くて最高!』と思った。

「大当たりって、それ、『不思議の国のアリス』以外には、例えばどんな本?」

「なんと言っても最高だったのは、日本のナツキ・オオゾラが書いた『世界一クラブ』ね!私、めちゃくちゃハマっちゃって、毎日ノートに光一君とかすみれちゃんの絵を描いてるんだから!あ、登場人物ね!『世界一クラブ』の!」

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