幕間 公爵令嬢エルゼの決断
「国王様、私王太子の婚約者を辞退させて頂きます」
私エルゼ・マイールは国王様との話し合いの場で宣言した。
「そうか……」
国王様は私の宣言にボソッとそう言った。
「公爵には言ったのか?」
「いいえ、お父様に話したら反対されますし下手したら結婚式まで監禁される可能性があります」
「あの男だったらあり得ない話ではないな、その辺は儂が上手く言っておく」
「ありがとうございます」
「リュージュも幸せ者だ、こんなに慕われているんじゃからな」
国王様に笑顔で言われ私は顔がボッと赤くなった。
「儂は直接的に援助は出来ん。その代わりリュージュを支えてやってくれ」
「はい! リュージュ様はこの国に無くてはならない存在です」
私がリュージュ様の婚約者になったのは10歳の時だ。
「はじめまして、リュージュ・オラルドと言います」
「マイール家長女のエルゼと申します。よろしくお願いいたします」
黒髪黒目の見た目は目立たない感じ、周囲から噂される『平凡王子』と言われるのは確かだな、と一瞬は思った。
しかし、何度も話し合ううちに王家の人間とは思えないぐらいの謙虚さや誠実さに私はドンドン惹かれていく事になった。
幼い頃から貴族の傲慢や横暴 (主に父とその周辺)を見てきて貴族と言う者に嫌悪感を持っていた私にとってリュージュ様の存在は癒しだった。
それにリュージュ様の作る魔道具は庶民の為に作られた物で私はリュージュ様こそ王になるべき存在であり私も支えたいと思っていた。
しかし、周囲の評価は違っていて弟のスカウド様ばっかり注目されていてリュージュ様の評価は低かった。
スカウド様は金髪蒼眼で頭脳明晰、スポーツ万能で女性の人気は高い、しかし私は惹かれなかった。
私はリュージュ様の内面に惚れたのであってどんなにスカウド様が素敵な方でも私は興味はなかった。
だから数週間前にリュージュ様が王太子では無くなりスカウド様が王太子になる、と聞いた時はショックだった。
お父様はスカウド様派でこの結果に満足していたけど私は内心嫌悪感が頂点に達していた。
更に加えて妹のマチルダが『私の方が相応しい』とか変なアピールをしてきた。リュージュ様の時は『いくら王子でも地味な方はねぇ』とか馬鹿にしてきたくせに。
良いでしょう、リュージュ様の良さがわからない人達とはもうやっていけません。
公爵令嬢じゃ無くなっても私はリュージュ様についていきます。
国王様と面談した後、私は家族が出かけている間に荷物を纏めて絶縁の手紙を置いて家を出た。




