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GOD HAND  作者: ホムポム
第7章  愛しの我が子へ
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第103話  喪失の代償


悪魔達と別れリアの手を引きながらヴァイス王国を目指すエリー。人形は何故か動かずそもそも……


「ここは……どこですのよ?」

辺りを目渡すと遠くに建物らしき物。

後ろは見知らぬ山。

見知った山などもエリーはないが扉を開け外に出た瞬間。廃墟の屋敷は消え去り。


エリーは迷子になってしまった。


「たしか…トルコマンが歩いて1ヶ月はかかるって言ってたから……ヴァイス王国領外の可能性もありますわよね。」


「あ う〜う〜。」

エリーの不安な顔つきにリアが手をギュッと握ってくる。

「あ……ごめんなさいリア。大丈夫ですわよ。

いざとなったら誰か呼びますから……ね。」


「あ あ あ!」


不安な顔を見せてはいけない。

リアを不安にさせてはいけない。



…………

……………………

数時間程歩くと大きくはないが町に着く。

「リア。フードを深く被ってね。」


リアの顔を隠すようにフードを深くかぶせ。他人から見て亜人という事を隠す。リアもわかっているのかいないのか、ギュ…ギュ。と引っ張りながら深く自身の顔を隠す。

獣耳が多少出っ張っているが問題ないだろう。



「……急だったからお金持ってきてないですわ。

換金出来そうな物も……。ジェシカはお金どうやって調達してたのかしら?」


彼女は僅か短時間でお金を徴収していた。

遠目から見ていたが人々は嫌がる事なくむしろ感謝するように彼女を崇めていた。


「金獅子……。金獅子姫?」

老婆が呟いた一言を思い出す。

150年のヴァイス暦でもっとも謎が多い人物の一人。


世界に知らぬ者は存在しないとまで言われている。

流石に誇張が過ぎる。

小さな島国には届いていない筈だ。



しかし東方連邦にまで名が知れ渡っている。


もう一人の有名人。百年前の英雄戦鬼。

戦鬼は僅かな期間で

世界中の人間と亜人を殺した事で有名になった。

人間としかわかっていない。

……もう誰もわかりたくもない。


金獅子姫は……

様々な場所に姿を現し。周辺の怪物と上級生物を殲滅してまわる小さな金髪の女の子。


不思議なのは活動期間。最初はわからないが

100年前から活動していたらしい。

やはり姿は小さな金髪の女の子。

そして2、3年前からプツリと噂を聞かなくなった。


100年間を通して別人の可能性もある。

襲名制の可能性もある。

決して名前を名乗らなかったので長い金髪と

傲慢で、我侭な姿から金獅子姫と誰ともなく呼ばれ始めたのを記録書で読んだ事があった。


一説では戦鬼を滅ぼしたのは金獅子姫だと

憶測を提唱する者までいる。

理由が戦鬼が姿を消して間もなく、

その存在が確認されたからだ。


戦鬼と金獅子姫が同時期に存在した記録はない。


……それだけはあり得ない。死ねば神に魂を返還される。戦鬼といえど例外は無い筈だ。

返還を確認出来るのは術士だけだが、そういった記録はない。戦鬼は生きている。


「……にしても…………。」

エリーは町並みを見渡すが人の気配がない。

空き家と思しき建物もあれば。

ほとんどの建物は堅く閉ざされた家ばかり。


「此処が何処だか聞きたかったのですけど……。」

ヴァイス王国の方向だけでも……

あとは金銭問題。左眼を使って人から騙し取る手もあるがそれは最終手段だ。


頭を悩ませながら町を歩くエリー。

町の中心に人だかりができている。


「……やっぱり人はいますのね!」

エリーは小走りに人だかりに近寄るが


「おい!冒険者達は何やってんだよ!?」

「金は払うんだ!さっさとどうにかしろよ!」

「何が冒険者だ!役立たずが!!」

「そうだそうだ!暇潰しさせろー!」


口々に汚い罵りを浴びせる人々。

それを必死に諌める若い女性と中年の男性。


人混みを掻き分けなんとか最前列へ

リアと逸れても不味いのでしっかりと手を握りしめながら。

「ど……どうしましたの?わたくしにも教えてくださいませんか?」



「旅の人ですか?ちょっと時間がありませんので

……どの町でも同じですよ。この町にもついに来た。

それだけです。」


エリーは紙を渡され人々に最後尾まで押し出される。

そしてその薄っぺらい紙を見て絶句した。


世界を旅する物たちによって書かれた

世界情勢の紙。新見聞。


〈百年の安息の立役者《金獅子姫》が天に還って3ヶ月。怪物達と上級生物は町や村を際限なく襲い続けています。

ヴァイス王国 国王は未だ姿を見せず。

長女エリザベス.ヴァイスも行方不明の噂。

一説では逃げ出したと。〉


「さ……3ヶ月?……ちょっと誰か!

今は何月何日ですの?」


まだジェシカが金獅子姫と、決まった訳ではない。

でもこれで可能性は出てくる。

ジェシカが死んでまだ1週間。魂を還したのはつい先程。


鼓動が高まる。動悸が激しい。


「わたくしが……行方不明?ほんの少しだけ……

城を開けただけで?」


「うっせー娘だな!11の月だよ!」

見知らぬ男から乱暴な答えを聞かされ心臓が止まったかのような錯覚に陥った。


「3ヶ月……時間がおかしくなってますの?」

フラフラと後ずさり新見聞に再び目を通す。


〈南の王国で龍神が降臨。

竜人種はヴァイス王国に古代遺物返還を求めるも

ヴァイス王国は拒否。

長男リチャード.ヴァイスが北方より2年ぶりに帰還。

交渉に望むも情勢は著しくない模様。〉


目には入っている。頭が追いつかない。

何が起こっているのか?


その意識を強制的に覚醒させられた。


「おい此処に冒険者がいたぞ!」

「こいつに怪物共を退治してもらおう!」

「ついでにエリーも呼ぼうぜ。多分近くにいるよ!」


「あ あ あぅ〜 あ」


湧き立つ人々から確かに聴こえた。


「……手。リア!?」


エリーが再び人混みを掻き分け最前列へ


そこにはリアが立たされていた。

首からぶら下げた冒険者のプレートが太陽に照らされ輝いている。。


慌ててリアに駆け寄り抱きしめ

「この子は……心の病ですのよ!恥を知りなさい!」


エリーの正論も

生け贄を見つけた人々は止まる様子を見せない。


「この町を護る筈の王国の奴等は逃げ出した!

冒険者もだ!俺達はなんの為に税を払ってきたんだ!?なんの為に金を持ってる?

さっさと働いてこいよ!冒険者!」


「そうだそうだ!エリーは働けー!給料泥棒ー!」


「早く行ってくれ!……俺達家族が……」


怒りに身を任せて激を飛ばす者。

泣き落としにかかる者。

野次目的の者と様々な声が飛び交う。


奥歯が鳴る程噛み締めリアの手を取る。

「……このゲス共!わたくしが出ます!

覚えてなさい!」


エリーはリアを連れて怪物が来る方向へと

案内される。


「……ダーク!貴方も来なさい!!」


「あぁ〜バレてたの?一応姿は隠せてた筈だけど……

あれかな?愛の力的な?」


全身に白を纏った白髪の悪魔。

ダーク.ノヴァを従えて。


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