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85/86

85 毒を持って毒を制す

少し短いです。明日20時目安です。

「了解です!シシリアちゃんにお任せですよ!……少し静かにしてくださいね……」


 シシリアは目を瞑って、「うーん」と唸りながら、集中し始めた。

 

 ピーンと来たのか、カッと目を見開いた。


「……あそこです!」


 シシリアは徐(おもむろ)に弓をつがえ、何も無い場所を射る。


『ギュエッッッッ』


 砂中の毒トカゲの擬態が解けて、砂の上に浮かび上がる。

 頭をぬたっ……と持ち上げ、尾を地面に叩きつけ、爬虫類特有の縦に裂けた瞳孔がぎょろりとオレ達を見る。『毒』と付くだけあって、表皮が紫と蛍光グリーンと言う、ぞっとするような色だった。


「ウィリス、氷魔法!」


「はい!『アイス・エンセント』!」


 ウィリスが、トカゲの全体をカーテンのように氷で覆う。

 動きを封じると、そこへパティとアイクが飛び込んでいった。


 氷を飛び越して飛び込んだかと思うと、姿勢を深く沈みこませて、バネのように勢いをつけて下から突き上げるように切る。


 しかし、二人共、武器の質が良くなったとしても、早々深手にはならない。まだ武器に体が付いて行って無いのだろう。まだ鍛錬が必要だな。

 

「『ホーリーブレード』!」


 オレは攻撃の補助の為に、アイクとパティが傷をつけた所を魔法の刃で更に抉った。


「『瞬息』!!」


 シシリアが他の場所より柔らかい喉へ矢を打ち込む。三射同じ所へ命中し、トカゲは仰け反って『ゲェェッ』と鳴いた。そこへ、二人がまた剣を突き立てる。     



 もちろん、それでは簡単には死なない。

 けれど、ダメージは蓄積し、苦しさからジタバタと暴れている。


 思ったよりダメージが入らないな。


 二人が何度も切りつけるが、中々上手くはいかないようだ。


『「吹雪射(すいせつしゃ)!!」』


 シシリアの氷を纏った矢が切り刻んだ傷に垂直に打ち込まれると、ようやく動きがぎこちなくなる。


「ウィリス、攻撃魔法頼む!」


「はい!『アイスニードル』!!」


 下半身を目掛けて攻撃をすると、冷たさが痛みになり、苦し紛れに暴れまわるトカゲの下半身が凍る。動きを封じられたトカゲは『ググッ』と怒りで唸った。


 シシリアが射った穴を、更にアイクとパティが切り込んだ。かき切る、というより、串刺しにした形だ。剣は右と左から脳天の方向へ剣が進み、血が噴き出す。


 パティとアイクが噴き出した血に濡れると、当たった場所がジュワッと黒くなった。


 あれが毒か!?


「『アンチ・ポイズン』!」


 オレが素早く唱えると、毒に侵され黒くなった肌が、時を巻き戻したかのように元の色に戻る。


 ……何か引っかかるな。試してみるか?


「『アンチ・ポイズン』!」


 オレはト(・)カ(・)ゲ(・)に(・)向(・)か(・)っ(・)て(・)解毒魔法を使う。本来なら意味の無い行為だ。だが、体の中に毒をため込んでいるという事は、肌も血も、毒が巡っているという事だ。つまり、やつは体が毒で構成されている。


『ギュワッ、ギュ……』


 トカゲは解けるように傷口から血を流し、どろどろと溶けていく。


「ほら、とどめさせ」


「は、はい!食らえ!!」


「やぁぁぁ!」


「『アイスランス』!!」


「『瞬雪』!」


 後は全力でタコ殴りである。

 体は半分溶けているので、あとは残った組織を壊すのみである。


 ここまで行くとオレは静観して、他のメンバーが攻撃をするのを見届ける。

 これで経験値も入る事であろう。


「はぁぁぁ、センパイってすごいですね、発想の転換というか。あんなの普通やらないですよ」


「アンデッドに神聖魔法が効くんだから、もしかして行けるかもと思ってな。ただの思い付きだったけど」


「すごい……」


 あまり褒められても、思い付きなだけだったので面映ゆいのだが。


 結構大きなモンスターなだけあって、魔物の核が出てきた。これは売れるぞ。

 


「あ、レベル上がってます……」


「これで全員37になりましたね」


 アイクがしげしげと冒険者カードを見つめる。最初はレベル差が有ってどうなるかと思ったが、これでようやく揃った。


 これで、まだまだ行けるな。

85話まできましたー。

宜しければ、星とかブクマ入れて下さると嬉しいです。

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