85 毒を持って毒を制す
少し短いです。明日20時目安です。
「了解です!シシリアちゃんにお任せですよ!……少し静かにしてくださいね……」
シシリアは目を瞑って、「うーん」と唸りながら、集中し始めた。
ピーンと来たのか、カッと目を見開いた。
「……あそこです!」
シシリアは徐に弓をつがえ、何も無い場所を射る。
『ギュエッッッッ』
砂中の毒トカゲの擬態が解けて、砂の上に浮かび上がる。
頭をぬたっ……と持ち上げ、尾を地面に叩きつけ、爬虫類特有の縦に裂けた瞳孔がぎょろりとオレ達を見る。『毒』と付くだけあって、表皮が紫と蛍光グリーンと言う、ぞっとするような色だった。
「ウィリス、氷魔法!」
「はい!『アイス・エンセント』!」
ウィリスが、トカゲの全体をカーテンのように氷で覆う。
動きを封じると、そこへパティとアイクが飛び込んでいった。
氷を飛び越して飛び込んだかと思うと、姿勢を深く沈みこませて、バネのように勢いをつけて下から突き上げるように切る。
しかし、二人共、武器の質が良くなったとしても、早々深手にはならない。まだ武器に体が付いて行って無いのだろう。まだ鍛錬が必要だな。
「『ホーリーブレード』!」
オレは攻撃の補助の為に、アイクとパティが傷をつけた所を魔法の刃で更に抉った。
「『瞬息』!!」
シシリアが他の場所より柔らかい喉へ矢を打ち込む。三射同じ所へ命中し、トカゲは仰け反って『ゲェェッ』と鳴いた。そこへ、二人がまた剣を突き立てる。
もちろん、それでは簡単には死なない。
けれど、ダメージは蓄積し、苦しさからジタバタと暴れている。
思ったよりダメージが入らないな。
二人が何度も切りつけるが、中々上手くはいかないようだ。
『「吹雪射!!」』
シシリアの氷を纏った矢が切り刻んだ傷に垂直に打ち込まれると、ようやく動きがぎこちなくなる。
「ウィリス、攻撃魔法頼む!」
「はい!『アイスニードル』!!」
下半身を目掛けて攻撃をすると、冷たさが痛みになり、苦し紛れに暴れまわるトカゲの下半身が凍る。動きを封じられたトカゲは『ググッ』と怒りで唸った。
シシリアが射った穴を、更にアイクとパティが切り込んだ。かき切る、というより、串刺しにした形だ。剣は右と左から脳天の方向へ剣が進み、血が噴き出す。
パティとアイクが噴き出した血に濡れると、当たった場所がジュワッと黒くなった。
あれが毒か!?
「『アンチ・ポイズン』!」
オレが素早く唱えると、毒に侵され黒くなった肌が、時を巻き戻したかのように元の色に戻る。
……何か引っかかるな。試してみるか?
「『アンチ・ポイズン』!」
オレはトカゲに向かって解毒魔法を使う。本来なら意味の無い行為だ。だが、体の中に毒をため込んでいるという事は、肌も血も、毒が巡っているという事だ。つまり、やつは体が毒で構成されている。
『ギュワッ、ギュ……』
トカゲは解けるように傷口から血を流し、どろどろと溶けていく。
「ほら、とどめさせ」
「は、はい!食らえ!!」
「やぁぁぁ!」
「『アイスランス』!!」
「『瞬雪』!」
後は全力でタコ殴りである。
体は半分溶けているので、あとは残った組織を壊すのみである。
ここまで行くとオレは静観して、他のメンバーが攻撃をするのを見届ける。
これで経験値も入る事であろう。
「はぁぁぁ、センパイってすごいですね、発想の転換というか。あんなの普通やらないですよ」
「アンデッドに神聖魔法が効くんだから、もしかして行けるかもと思ってな。ただの思い付きだったけど」
「すごい……」
あまり褒められても、思い付きなだけだったので面映ゆいのだが。
結構大きなモンスターなだけあって、魔物の核が出てきた。これは売れるぞ。
「あ、レベル上がってます……」
「これで全員37になりましたね」
アイクがしげしげと冒険者カードを見つめる。最初はレベル差が有ってどうなるかと思ったが、これでようやく揃った。
これで、まだまだ行けるな。
85話まできましたー。
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