83 そういう事も有る
明日もお昼更新です。
街を経由して、船の出る街に戻る。
「はーっ、無意味に疲れたな」
俺が槍を杖代わりにすると、横でシシリアも額を拭っている。
「本当に私達、居た意味有ったっスか……?」
「まままま、二人が居たから技が気持ちよく撃てたって事で!」
トーリは手で「どうどう」とオレ達を制する。
「しかし、どこから天界に帰るんだ? 神像……の近くは無理だし、落ちてきた時と同じあの丘か?」
オレは最初に天界から降りてきた(落とされた?)一番最初の丘を思い出す。
「流石に、毎回人を同じ場所には落とさないですよ」
落とすって言っちゃった!!
「偏りが出るから、この世界に満遍なくって感じですね。いきなり過酷な場所には放り出されないって聞きますけど」
「そう言えば、帰り方を聞いた事が無かったっスね」
確かに、そうでないとあの町が天界の民でもっと埋め尽くされていた筈だ。
シシリアさえ別の土地から来たようだしな。
「教会の石像で連絡取って、待ち合わせしたら帰らせてくれます」
そんな、送迎バスのような……。
「じゃあ、ここの国で戻るのか?」
「いえ、帰りも何か有った時に、冒険者ランクがセネカさん達の冒険者カードじゃ誤魔化せないだろうから、元の国までは一緒にそっちの大陸に戻ります。それに、セネカさんの拠点にしてる街には石像が有るでしょ?」
「なるほど」
確かに、強い魔物が出ても、そのランクでどうして倒せるんだって話になってしまうな。
「あ、そう言えば、シシリアのレベル、いくつになってる?」
「んー、37っスね」
「俺も37だ。多分、38に近い37だな。2レベルアップはヤバイぞ。補助しかしてないとは言え、ドラゴン相手だったし」
「でも、半月も有った訳だし、パティたちも1レベルくらいは上がってるんじゃないスか?」
「だと良いんだけどな」
レベル差が有るパーティーは、一緒に行動するとレベル的に難しいモンスターでも戦えてしまう為に、レベル上げの引き上げ助けになってしまうため『キャリー』と言われやすい。引き上げだね。因みに、守られながらの『パワーレベリング』とも言われるな。
ま、1レベルくらいでは何も言われないだろう。
「丁度船もきましたし、さっ、乗りますかあ」
帰りは船で休憩するので、そのまま船に乗った。
帰りは何事も無く、拠点になっている街に、無事に帰って来る。
トーリとは、船着き場で別れる事た。
オレとシシリアは、まず冒険者ギルドに行ってみる事にした。3人が居るかもしれないからね。
バタンと扉を潜ると、丁度三人がギルドのラウンジテーブルを囲んで居た。
「あ、セネカさーん!!」
アイクがブンブンと手を振る。
「リアちゃん、半月ぶり……」
皆が笑顔で迎えてくれる。
「聞いて下さい」
くふふ、とパティが笑う。
「何と! レベル上がってるんです!」
得意げに冒険者カードを掲げている。確かに1レベル上がっている。しかし、隠しても仕方ない。オレ達は現状を伝える事にした。
「ごめん、オレ達2レベル上がったわ」
オレの言葉に、3人が『ガーン』と音がするかの如く固まった。
パティが『が、頑張ったのに……』とのけぞっている。
「一緒に居たヤツがAランク冒険者だったから、補助しただけでもレベルが上がっちゃったんだ」
「なる、ほど……」
パティがそう呟いたきり、テーブルは一瞬にしてお通夜会場のようになってしまった。
「……で、でもでも、Aランクの人と一緒に居たら、そうなるかもですよね?」
ウィリス、ナイスアシスト。
「とにかく37と36レベルなら中級に近いな。今度こそランク上げの討伐の依頼を受けよう」
「じゃあ、依頼ボードを見るかー」
レベル的に30程の依頼を見てみよう。
30、30……お、これはどうだ。うーん、砂漠の毒トカゲ……か。ちょっと危険そうだが、ガードのフリをしてデヴァイン・ドメインを使えば良いか。
そう思って依頼票を取ろうとして、視線に気付く。
「それ、受けるんですか……?」
「そうだけど、別に爬虫類大丈夫だよな?」
ウィリスが泣きそうになっている。そう言えば、ウィリスは蛇とか苦手だったな。
足が有ってもカエルもだめかぁ。かく言うオレも足が10本以上有ったら無理だが。
「えーと、岩の上から遠くに魔法撃つだけでいいぞ?」
「は、はいぃ……今回はそうさせてもらいます……」
まあ、人間得手不得手が有る。だからと言って逃げてばかりではダメなのだが、仲間がフォロー出来る範囲ならいいだろう。
大体、ウィリスはレベルの割に結構出力が大きいのだから、多少遠隔でもかなりの威力が見込める。
ふむ……。
「よし、それぞれ一か月の準備をしてくれ」
「え、センパイ、ここ片道馬車で3日ですよ。そんなに荷物持ってどうするんですか?」
「最大に日を取って、『レベル40になるまで帰れません』合宿だ」




