80 (仮)Aランクパーティー
明日もお昼更新です
船は豪華客船といった風で、50人は乗れそうだった。
船首から船尾までは約40メートルほどか。
「あ、一応、女性と男性で部屋を分けてあるから、好きな時に出入りして良いよ」
トーリはシシリアに鍵を投げてよこす。
「……っと」
「ウェルカムフルーツとか、ドリンクとか置いてるはずだから飲んできな」
一瞬トーリの口の利き方にムッとしたものの、ドリンクとフルーツに抗えないのか、自分の部屋にさっさと行ってしまった。
だが、オレ達の職場って「風通しの良い職場」と言う目標に掲げているので、加減は難しい。しかも、「目標」と言うだけあって、未だに上下関係はあやふやだ。オレ達の上層部は良くも悪くもガチガチでは無いので、そこまで目くじらを立てる事は無い。
シシリアの所とオレの所の上司はフラットすぎだけどね……。
「トーリの所の上司ってどんな人だったっけ?」
フロアが違うから、あまり会わないんだよな。
「え、フツ~~~~の人ですね。普通過ぎて特徴が無いと言うか。行く時は淡々と送ってきたし、帰る時も『そうか』とだけ」
特徴が無いのが特徴ってやつか。
「あ、でも一つだけ言ってたのが、『帰る時はチョコの一粒で良いから同室の同僚に配れるくらいの土産を買ってこい』っていわれましたね」
新婚旅行かな?
しかし、典型的なサラリーマンだな。それでもトーリみたいな適当なやつを上手く動かしているのだから、やり手では有るだろう。
「セネカさんは、そう言うの無いですか?」
「土産かー、考えた事も無かったな。因みに、トーリは何持って帰るんだ?」
「塩飴じゃなくて、しょっぱ飴です! まずいんですよ~」
ネタ的なお土産か。
賛否両論だぞ、度胸有るな。
それ以降、船は順調に進み、陸まであと二日までと言った所で、それは起こった。
空は晴れているのに、波が大きくなり、急に船が傾いで立っていられなくなった。
甲板に出てみると、急に海水が持ち上がった。
あれは………神話のリヴァイアサンと似てるけど、頭が二つ有るウミヘビに似ている生物で、海の生き物らしくエラを持っている。体は水に擬態する為か、深い青色だ。
突然のモンスターの登場に、甲板はパニック状態である。
その様子を見たトーリは、進みだして剣を抜いた。
「お、おい、危ないぞ!」
船乗りが逃げる事を勧めてくるが、こいつが怖がるわけは無い。
「大丈夫だ、俺はAランク冒険者だ」
トーリは冒険者カードを高く掲げる。
「おおお、Aランクパーティーが居るぞ! 邪魔にならない所に固まれ!!」
何でオレまで一括りにされてるんだ?
確かに一緒に遜色ない働きは出来るが……一緒に居るから混ぜられてしまったか。
「よし、いくぞ!」
トーリは跳躍をして剣を振りかぶる。
傾いだ船の扉から、シシリアが飛び出してくる。
「何事ですか!?」
「ああ、アレだよ」
オレは親指でモンスターを指差した。
「一応、ポーズでフォローしといてほしいらしい」
「仕方ないですねえ」
シシリアは背から森神の弦弓を外し、構える。
「『瞬発』!」
シシリアは矢を6本、間髪入れずに連射する。
……ガードは、要らないか。
おれも槍を構え、近くに跳躍した。トーリとシシリアが右を攻撃しているので、オレは左だ。二人一緒なら万が一、も無いだろう。合間合間に魔法でも撃っておけばいいだろう。
オレはモンスターの口を串刺しにすると下に降りる。
横はと見れば、右の首の目は正確に射抜かれ、首は辛うじて繋がっているに過ぎない。放っておいても大丈夫か。
「『コンデミネーション』」断罪
空中にギロチンのような刃が浮き上がり、無慈悲に下に落ちる。首は落ち、左の首はピクピクと痙攣するのみで再生する様子も無かった。
「セネカさん早すぎ!」
トーリは剣を構え直して、飛びのきながら首をかき切る。今度は貫通したようで、右首も落ちた。
シシリア以外は血を被っているが、仮に毒が有ってもオレ達に聞くわけも無い。あとでクリーン魔法を使えば済む話だ。
客室に降る階段の影から、乗客と乗務員が顔を出す。
「おお」
歓声が起こる。
「流石Aランクパーティーだ!!」
重ねて言うが、オレはAランクではないんだけどなあ。
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