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73/86

73 幕間2

いつもと視点が違います。


明日もお昼更新です。

 エルフの森から街道まで1日、馬車に乗ってから3日かけてシシリア達は街へ帰ってきた。

 

 打ち上げは行きつけの海産物の店。見かけによらず大食漢なウィリスをはじめ、『火炎の蕾』の女子3人のエンゲル係数は高い。


 そこに男子二人が加わった物だから、かなりの量がテーブルに乗った。

 貝と白身魚が入ったアクアパッツァやボロネーゼパスタ、ガーリックバゲットやプレッツェルなど、色々なメニューをシェルしながら食べていく。


 ここはメニューが多く安いので、そんな3人でも満足出来る店だった。


 腹が膨れると少々談笑し、三日後にギルドで集合することにして解散した。

 

 セネカとアイクと別れ、パティとウィリスとも帰ろうかと言う所で、シシリアはそれを断って教会へ行く事にして一人道を歩いていた。


 そろそろ上司へ報告せねばならぬ頃だ。

 

 教会の扉を開け通路をしずしずと歩き、シシリアは神像の足元へ来ると、手を組みこうべを垂れて深くうつ向く。一見真摯に祈っているように見えるが、実際の所は上司への報告である。


 上司たる神の一人と、神像を通してやり取りをしているので、祈っているのと大差無いのかも知れないが。


(いらっしゃいますか、上司?)


((あら、シシリアちゃん、元気~? 何か面白い事でも有った?))


(いえ、報告は義務ですよね? 楽しいとか有ります?)


 この上司は、いざとなれば頼りになるのだが、如何せん、普段がちゃらんぽらんだ。おそらく、今もネイルでもしながら通信をしているのだろう。


 たまに「じりじり」や「ふーっ」と言った音が聞こえる。

 

((義務と言うか、聞いとけばいいって感じ?))


 軽い物言いに、シシリアはふぅーっと息を吐く。


 修羅場に塗(まみ)れた職場に居ても、上司はお洒落を忘れない。これでしごできなのだから誰も文句は言えないのだ。


 そこで、森の出来事や以前の件も併せて報告する。


((ふぅん、堕天したコねぇ。最近人間界で騒いでいるコがいるってことは、他の部署でも報告があるんだけど。そのコの事かもね))


 他の部署から報告が来る程なら、自分が把握出来ていない件も有りそうだ。


(どう対処したら良いですか?)


((今の所、特には。こちらから手を出すと、あちらからケチを付けられる口実をつけられちゃうからね))


 上司の言葉に、シシリアは頷く。


((それより!))


 その言葉にシシリアの眉がピクリと動く。


((ね、どうだった? 恋の花が咲いたりしなかったの??))


 例の溺れた時の、人工呼吸の件だ。淡々と報告していたのだが、この聞き上手な上司に全部白状させられ(げろった)たのだ。本当に言う気は、決して、無かったのだ。


(しません!)


((あらあら~。咲いても良いのよ?))


(咲きません!)


((命を救ってくれたのに……。んもぉ、そんなに固くならなくて良いのよ。現地人とでなければ楽しんできなさい))


(上司こそ、この状況を結構楽しんでないっスか)


((うふふ~、仕事と家の往復しかしていないから退屈なのよね))


 一瞬無音になる。シシリアが首を傾げると、上司が真面目な声で続ける。


((セネカくんは、回復が得意だから離れないで。彼の真骨頂は、槍じゃ無くて聖魔法よ。コレ、隣の部署情報ね))


(はい、そうですね?)


 確かに、色々な局面で、槍よりも魔法を誓っている場合も有る。


((わかってないなぁ、彼の近くに居れば私の可愛い部下は安全だって事! とっさの判断を間違えても、全て彼がカバーしてくれるわ))


(そんな丸投げしちゃっていいんですかね)


((大丈夫。彼はそ(・)う(・)い(・)う(・)性(・)分(・)だから))


 ふふ、と神像越しに上司の声が漏れる。


((まあ、とにかく気を付けてね。地上も何が有るか分かった物じゃないから))


(はい、分かってます)


((それじゃあ切るわね~))


 ぷつりと通信が途切れる。


 祈る姿勢から姿勢を戻すと、教会内の人が自分に注目しているのが分かった。

 パティの言葉を思い出す。


『リアちゃんもセネカさんと同じくらいレアきゃら扱いだよん、目立つ容姿ってのも問題だねえ』


 自分は何かのカードではないので、止めて欲しい。それならば長居は禁物だ。

 シシリアはしなやかな足で踵(きびす)を返し、外に出る。


 『咲いても良いのよ?』


 上司の言葉が脳内でエコーする。


(咲かない! 咲くわけないでしょ!! 救命救急措置で!!)


 教会の外に出て人知れず地団太(じだんだ)を踏む彼女を見ているのは、もうすぐ地平線に隠れる夕日だけであった。

実はこの話一回消えてしまったんですよね……セーブ方法間違えてて、元データが消えてしまって、しばらく唖然としました。


自分可哀想すぎるので、星とかブクマで慰めていただけると立ち直れます。

マジ、ありえなす……おーんおんおん。

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