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71「また会いましょう」「だが断る」

明日もお昼更新です

 鳥のように身を翻すそいつを、オレとシシリアで枷を外して戦闘をする。

 パーティーメンバーは時が止まっているので、手加減をする事は無いのだ。


 「『ノモス・ドーリン(掟の槍)』」


 天から無数の槍が現れ、全てがそいつに向いている。これで、逃げられない筈だ。


 ドドドドドドドドと周りの光さえ巻き込みながら、光の槍を撃つ。


「シシリア、ダメ押ししとけ」


「はい! 『ピュシス・ファロス(不変の灯台)』!」


 シシリアは天へ狙いを付けて、光で一閃する。


 光の煙が落ち着いた所で女がいた場所を見たが、姿は無い。どこだ!?


「いやーだ、乱暴だわ」


 オレの後ろからクスクス声がして、背中からうなじをスっと指で撫でられる。

 その瞬間、槍で薙いだがバックステップで避けられた。


「!? どうやって逃れた?」


振り向きざまに後ずさると、女は「ヤレヤレ」とばかりに肩を竦める。


「出口も入り口も有るんだから、こうやって移動すれば良いでしょ?」


 女は空中に円を開けて飛び込み、別の円から出てくる。

 ……モンスターを相手取るのとは訳が違う。


 話(・)は(・)出(・)来(・)る(・)が(・)会(・)話(・)が(・)通(・)じ(・)な(・)い(・)相(・)手(・)だ。力押しでどうにか出来る相手じゃない。

 オレが頭の中で算段を付けていると、女は残念そうに頬に手を当てる。


「ざーんねん、そろそろ時間かな? お喋りしすぎちゃった。フフ、また会おうね」


 女は、現れた時と同じように光の円の中へ消える。


 ゆっくりと時が戻り、皆が動き出す。


「攻撃、やめ!」


 オレの号令に、皆が驚いてオレを見る。攻撃が止められた事が不思議なのだろうが、もう状況が変わった。


「アイツを見てみろ」


「え?」


 アイクの疑問人に、オレは答える。


「もう変異は消えている」


「いつの間に……」


 シシリアとアイコンタクトで頷いて、うやむやにする事にした。


 森の化身は、ぐらぐらとしていた体から黒い靄が消え去ると、ドォンと体を横たえた。焦って走り寄ると、気絶しているだけのようだ。元々の白い毛並みに戻ったクマを見て、オレ達が役目を終えた事が分かった。


 何はともあれ、ミッションコンプリートと。


「とにかく終わった事だし、戻るか」


 口を挟まれない内に、戻るとするか。


 エルフの村長に付けてもらった模様を付けられた手をかざす。光がぐるりと円を描き、森の化身が居る空間から村へ戻ってきた。


 エルフは相変わらずヒソヒソと遠巻きに見ているが、視線に棘が取れた気がする。


「よくお戻りになりました、私も先ほど感じ取れました。これで弓の材料も取ってくることが出来ます」


 ようやく武器の話に戻ってくれた。


「しかし、弓の材料は一晩、月光に当てなければいけません。どうか森の外でお待ちください」


「え、私達ここの為に戦ったのに村から出なきゃいけないの!?」


 村長の言葉もパティの発言も分かる。エルフにしてみると鉄を使っているパティ達は、村に置きたくないし、パティにしてみたら村を助けたのに出て行けと言われるのは納得がいかない。


 それでも、これはどうしようもないのだ。仕様である。


「パティ、これはどうにもならない。彼らは、理屈じゃ無くて鉄が苦手なんだ、出よう」


「セネカさんがそう言うのなら……」


 まだ納得出来ないのか、もにょもにょ言っているが、引っ張って外に出ることにする。最初に会ったエルフが傍に居たので、案内を頼む。


「外への道を教えてくれ、オレ達は外で待機をしている」


 村から出て開けた場所に出ると、軽いキャンプの準備をする。


「そう言えば、真影の剣は今回喋らなかったんだな」


 真影の剣に話しかけると、カタリと音がする。


『拙が喋ると、どうなるか分からないからな』


 確かに更に引かれるかも知れないな。


『あいつらは金属が嫌いだから、きっと、研究でバラバラにされるに決まっている!』


 あ、こいつアホだわ。


「エルフはそんな猟奇的じゃないし、いちいちそんな事はしない」


 火をつつきながら言うと、真影の剣は沈黙した。

 こいつ、実力は有るんだけど、どうも性格がうっかりだな。


 人の多い所で喋らないように言い含めないとな。

 

 その日は気疲れもしたので、カチカチのパンに干し肉を挟んだものをスープで流し込み、早目に休む事になった。


『フフフ、また会おうね』


 女の声が頭で木霊する。

 しかし、オレは「スキル:お休み三秒」を使えば余裕だ。流石に今日は1分くらいは掛かったが、無事に睡眠に入る事が出来た。

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