↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
64/86

64 歌声は高く響く

お待たせしました!

再開致します!

本日、数話を順に更新していきますね。

 冒険が終わっても、決まった規則正しい時間に起きつつも、日常を送りながらも昼寝もするという、矛盾した生活を送っていた。怠惰極まりない。


 それはそれとして、破れた服の代わりを探さねばな。


 もう一着、服を買っておいて良かった。オレはそちらに着替えると、外に買い物に出かけた。先日寄った冒険者ご用達の服屋だ。そこで上から下まで見立ててもらう。


 街中を歩くと、昼飯時なので屋台も大盛況だった。匂いで腹も減り、屋台でホットドッグ二つとポテトを買うって、噴水広場のベンチで食べる。


 ここ数日は宿屋で飯を済ませていたので、たまには違う物も食べたくなるという物だ。


 公園のゴミ箱にゴミを捨てると、宿屋へ戻る。


 そこへ、あの塩っぽいシチューの臭いがする。

 

 どれ、おかみに少し塩が多いと言ってみるとするか。


「おーい、おかみ、シチューだが……?」


 暖簾(のれん)をくぐり、厨房を覗くと、足元に箱を置いて鍋に向かう、12歳くらいの少女が目を瞬かせた。


「おや、シチューがどうかしたかい?」


 後ろから、おかみさんに声を掛けられた。


「いや、何でもない」


 どうやら、あのシチューは、この少女が担当していたらしい。それでシチューが塩っぽかったのか。子供が作っていたのなら仕方ないな。


「それじゃあな」


 オレもそれなりに長逗留しているのだが、あんなに小さな看板娘が居るとは知らなかった。今度からは、たまには食べておこう。注文が少ないと、やる気を無くすからな。


 考えてみれば、あの食堂でシチューを頼んでいるやつは、それなりにいた。

 オレは、冒険者は汗をかくからそれなりに塩っぽいものを食べるからだと思っていたが、あの小さい看板娘の為だったわけだ。


 本音を言えば味見をしてくれと言いたいところだが、何も言うまい。頑張ってお手伝いをしているのだ。


 


 4日過ぎて休みが終わり、ギルドに集合すると、既にオレ以外のシシリアのパーティー『火炎の蕾』のメンバーが揃っている。


「センパイ、こんにちはー。今日こそ何か、お金になるクエスト探しましょうね」


「リアちゃん、あけすけだよぉ……」


 ここ最近、クエストのついでに取った素材などは持ち込んだが、大した金にはなっていない。ここらで、どかんと金になる仕事をしたいものだ。


「ところで、みんなの今のレベルはいくつだ?」


「僕は30です」

「私達も30ですよ」

「オレも30だ」


 これでようやくレベルが揃ったな。そうは言っても、アイクは31に近い30だと思うけど。


「んー、何がいいかなー……」


 オレは依頼ボードの前で腕組みをする。

 討伐系は、結構あると言えば有る。ただ、街への道行とレベルの兼ね合いを考えるのが難しい。


「うーん、これはどうだ?」


 依頼ボードを覗き込む。


『洞窟の中のセイレーン退治、西の洞窟に群生地あり。推奨レベル30』

レベルもドンピシャだし、街からも、そこそこ近い。魅了のかかった歌声で近くを通る船を難破させるというモンスターだ。


「うん、丁度良いですね!賞金も程々良いですし」


「ちょっと待ってください」


 パティの賛成にアイクが否を唱える。


「何だ?」


 船が沈められるのに、どうやってそこまで行くんですか?」


 あー……考えてなかった。


「浅瀬から行けないか、地図を見てみるか」


 地図を見て、歩けるような浅瀬を探してみる。通り道をしなければいけないが、こちらの街から直接行くよりは、浅瀬の範囲が広い。


「でも、基本は奥に居るやつは、シシリアの魔法とウィリスの魔法頼みだな。こっちに向かって来るやつはパティとアイクで頼む」


 オレがこういうと皆は首肯する。反対意見無し、と。


 歩きで行って一晩で帰って来れるようなので、念の為に2日分の量だけを食料などを準備して、明日向かう事にした。


 もし上から行かなければならない場合の為に、今回は滑車とロープを用意した。重い荷物ではあるのだが、近場だからこそ取れる方法だろう。     





 次の日は、朝から集合する。本来西へ直行出来る洞窟なのだが浅瀬も無く、船で行っても沈没させられるだけなので、岸をややぐるりと回って、南側から降りる事にした。


 滑車を入念に準備をしてロープを垂らす。崖の高さ自体はそこまで無いので、無事に下まで降りられる状態に出来た。


「よし、30分休憩にしよう」


 疲れを残したまま敵陣に乗り込むのは愚か者のする事だ。敵の強さが分からない以上、慎重に行くべきである。


 崖の上で待っていると、セイレーンと思わしき歌声が心地良く聞こえてきた。

 それは確かに美しい歌声であったが、この歌が何隻も船乗りを陶酔させ、沈没させてきたのだ。


 そう考えてふと周りを見ると、周りのメンバーがぼーっとしていた。


 やばい。陸に居たとは言え、セイレーンの歌が効いていた。


 流石にシシリアには効いてなかったが、眉を顰(ひそ)めている。


「センパイ、早く『アフィプニスィ(覚醒)』使って下さいッス。これじゃ、皆使い物にならないっスよ」


「いかん、『アフィプニスィ』!」


 呪文を詠唱すると、一様にパチリと瞬きをする。これは耐状態異常をかけないと進めないな。


「『レジスタンス・オー・ゼタ』! これで状態異常にかからなくなる筈だ。頭がぼんやりして来たら申告してくれ。かけ直す」



 これは想定よりも難しい依頼だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。