60 押されなくても落ちる時は落ちる。
タコはくねって暴れだし、その内に感電したかのように、行動が鈍ってくる。皿にその急所へ、パティとアイクが刺すように切りかかった。
ピギュウウ!! ピャアアアアア!
流石に致命傷とも言える攻撃を受け、更に体が雷を受けてビクビクしていても、こちらを攻撃せんと、足を伸ばしてくる。
『シールド』
それをまともに受けて、次はシールドに張り付いたかのようになった。しかし、それは急所を晒したも同然であった。回り込んできたパティは、口の部分へザクリと切りかかる。
口は攻撃されれば、もはやこちらを食べる事も出来なくなった。更にアイクがそこを袈裟切りにした。
「やあぁぁぁ!」
気合一閃。
ブシャッっと赤い色が飛び散り、外套部と言われる、頭のような部分が萎んできた。
はぁ、驚かせやがって。
ふぅと息を吐くと、後ろに下がる。
「センパイ、本当に8本より上だとダメなんですねぇ」
シシリアはジト目でオレを見る。シシリアは今の所苦手な敵の系統が分からない。いつか絶対に苦手な敵をみつけてやる。オレは決意を新たにする。
その後はスライムのような、壁に擬態してるものや、水草のように見えて足に絡みついて水に引きずりこんでくるような、陰湿なトラップのような敵ばかりだった。そろそろ何らかの収穫が欲しい。
それにもめげずに進んでいくと、今度は、湿ってはいるものの、足元がしっかりしている道に出た。相変わらず入り組んではいるが、歩きやすくなった。そのまま進んでいると、今度は開けた場所に出る。
穴は、人一人が通れる程度に開いており、そこは風が吹いており、乾燥していた。
「これは、通れって事だよな?」
後ろを見ると、皆が難しい顔をしている。この先は崖だ、代表してオレが先頭に立って下を覗く。
絶対押すなよ?
崖の下には森が広がっており、知らず知らずのうちに、60メートルほど昇って来たようだ。下を覗くとオレが今、立っている足元と同じような突起が出ている。目を凝らすと、何かが引っ掛かってる。
んんんん? 剣が刺さってるな……。
「誰か、ロープ持ってるか? 下に剣が刺さってるから、オレがちょっと降りてくる」
「え、セネカさん、平気なんですか……?」
「誰か行くしか無いだろ、女子に行かせる訳に行かないし、何か有っても怪我が治せるから、オレが行くのがベストだ」
ウィリスが心配の声をあげるが、結局オレが行く事になった。
腰にロープを取れないように結び、他の4人が支え、そろそろと体を降ろしていく。
崖っぷちのとっかかりで剣が地面に刺さり、風に吹かれていた。
ここ、誰が見つけられるの? 無理ゲーでしょ。
しかも、剣にかかった術式が少し複雑で、これはウィリスのサーチでは看破出来ないな。
『サーチ』
・真影の剣 素早さ、力、魔力アップ
これはパティ向きかな。アイクには先日、渡したからな。
「おーい、そろそろ引き上げてくれ」
上に声を掛けると、掛け声をつけながらぐいぐいと緩急をつけて、親猫に引っ張られる子猫のように大人しくされるがままになっていた。
しかし、よく有る話と言えばよく有る話で。
「セネカさん、ロープが擦れて切れる! 早く昇ってくれ!」
アイクの焦った声が聞こえる。
そんな無茶な。逆にこれなら見えない所まで落ちて、後は翼を使えばいい。最後には砂埃を付けておけば完成だ。今の所は言われたとおりに、登ろうとする姿勢を見せるしかない。
ぐいぐいと腕で登っていると、目前でロープの崖に擦れている所が見えた。
あ、これやっぱりダメだわ。
ぶちりと目の高さでロープが切れた。
これ、翼を持ってない人間だと気絶しているだろうな。
オレは皆の姿が見えなくなったところで翼を出し、地面にふわりと降り立つ。
もちろんケガなどは無いのだが、剣ごと砂や土を体に付けておく。これで見られても平気である。後は袖とかを適当に破いておけばいいか。
木がクッションになったとでも言っておけばいい。そもそも回復魔法が使えるのだから、特に問題は無い。
上司の言葉を、ふと思い出す。
((回復魔法を使えない時に気を付けてね))
魔法を使えない場所が有る可能性も有るし、魔法を使えない程、自分の体が傷ついた場合が有る。
何となくぞっとして、頭を振る。
しかし、最悪な事に、オレは荷物を持っていない。ロープで降りる時に、邪魔だから皆の所に置いてきてしまったのだ。
見つけてもらえるかなぁ。
宜しければ、星とかブクマをお願いします。




