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天界からバカンスで降りて来たオレ、冒険者になって世界を満喫します!~バカンス先なのに、何故か後輩がいるのですが~  作者: 夢咲みやと


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5 スライム狩って日が暮れて

お昼上げ2。

次は18時に来ます。

 シシリアの態度に、何となく釈然としないまま、頭をかきつつ街へ戻る。

 他人のフリといいつつも郷里の知り合いと言っていたので、どういう距離の取り方が正しいのか分からない。

 

 そもそも、相手がどういう設定で街に紛れているのかも、よく分からないのだ。


 街に戻ると、朝に声を掛けてくれた親父が、また声を掛けてくれた。


「おお、坊主。成果はどうだー?」


「スライム狩りしてレベル3まで上がった。明日は採取系クエストこなしながら、またスライム狩りするわ」


「ソロで一日にレベル1から、もうレベル3!? お前すげーな……でも、慢心してると命にかかわるから気を付けろよー」


 親父はオレを驚いた顔で見る。


「サンキュー」


 今日は依頼をこなした訳では無いので、特にギルドに報告する事も無く宿に戻る。

 

 時刻は夕方。

 オレの地上観察で、一番好きな時間だ。


 市場の様子を覗き、人の流れに乗ってみたり、家々から出てくる夕飯の匂いを嗅いだり、地上の民感を満喫すると、宿に戻る。その頃には、一階は食堂から酒場にシフトしており、冒険者が騒いでいる。

分け前を計算していたり、お互いを称え合ったり、一部は失敗したのかお通夜みたいな顔をしていたりと千差万別だ。


 腹が減っているので、昨日しょっぱいと思ったシチューを除外して、先に酒とつまみを頼む。そう動いても無いのに、腹の虫だけは一人前に鳴いている。


 オーダーをして、しばらくすると、エールと茹でた枝豆が来た。冒険者と言えば、やはりエールだろう。オレは形から入る派だ。しかし、一口飲んでみたが、アルコールの苦味が喉を刺して、さして美味しいとも思わなかった。

しかし、これもきっと冒険者の一歩なのだ。代わりに、枝豆の方はホクホクして美味しい。


 誰かと一緒な訳でも無いので、二杯目は格好をつけずにエールを頼む事を諦め、大人しくお冷を頼んだ。


 やはり、食事で合う合わないが有るな。店にもよるだろうが、食べ物も飲み物も、色々と開拓したいものである。




 しかし、困惑したのは、その次に頼んだ固まり肉である。周りを見ると、骨を手で持って直接食べると言う、やんちゃな食べ方をしている。別に野蛮とか言うつもりは毛頭ないのだが、手に油がついてベタベタになるんだよね。


 まあ、ナイフとフォークで食事するのも、ここでは変に見えるだけだ。郷に入っては郷に従え。オレも、はぐりと肉に直接食らいついた。


「!!」


 肉質は少し硬いが、油がジュワッと出てくる。香草が香り付けでかかっており、臭みを取っているんだろう。こちらはオレの好みドストライクな味だった。何でも食べてみるもんだね。


「おー、兄ちゃん新人か? 見ない顔だな」


 オレが肉を堪能していると、背中から、中年と言うにはやや若い、青年と言うにはやや歳を食ってる感じのおっさんが声をかけてくる。少々くたびれているが、ベテランといった感じだ。


「今日、冒険者登録しに来た田舎者だからな、知らないのも無理はないよ。これから顔合わせるかも知れないから、宜しくな」


 オレが肉をかじりながら片手を上げると、オッサンも手でエールを掲げてくる。


「はっはっ、そうか。まあ、気楽にやれよー!」                                          


 オレの背中をバンバンと叩いてから自分のパーティーに戻り、景気良く歌いながら仲間と呑んでいる。この街は冒険者ギルドが有るのも相まって、宿も冒険者が多い。高ランクともなれば家を買ったりするらしいが、今のオレには関係無い事だ。


 何故かと言うと、一つ所に居る事が出来ないからである。オレ達は地上の民と違い、歳をとるのが極端に遅い。何年も年を取らずにいたら、地上の民に怪しまれる所の騒ぎじゃない。畏怖ならまだしも、排斥運動が起こる方が怖い。


 シシリアは「20年ここにいる」と言っていた。しかし、それは言葉通りに20年この街に居ると言う訳では無いだろう。オレ達は色々な意味で根無し草になるしかないのだ。


 そうは言っても、まだ冒険者一日目だ。先の事を考えすぎても仕方あるまい。今日はモニター作業では無く、久しぶりに野外で魔法を撃ったので疲れた。程々に食べると、一階でお湯を貰って体を拭き、二階に戻って眠る事にする。

 シャワーが浴びたいが、高級な宿屋に泊まるか、川にでも行かない限りは一人での水浴びは無理だろう。


 洗わなくてもクリーン魔法で体は綺麗になるが、気持ちの問題だ。

 明日ギルドに行く時に、公衆浴場でも無いか受付で聞いてみる事にするかー。


 オレは、ぼんやりする頭のまま大きく伸びをし、固いベッドに潜り込んだ。

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