48 中間報告
明日もお昼更新となります
陽が昇って朝になると、村へ移動する。
昨日考えた適当な言い訳を言うと、村長が喜んでくれたのだが、オレ達は特に何もしていない上に嘘をついているので後ろめたい。よって、報酬は固辞してきた。
あの少年の事を、ここの村にまで言う訳にはいかない。
あー、天界に戻ったら、減給か最悪、謹慎かも知れん。
それでも、何ら罪も無いのに、狭い檻に隔離された子供を見過ごす選択は出来なかった。
村長に挨拶をして、早々に村を辞する。
ここからまた二日は馬車の中だ。
馬車の中は俺達だけなので、御者に聞こえない程度の小声で相談する。
「セネカさん、どうやって彼らを連れてくるんですか?」
アイクの問いも尤もだ。しかしまず、見た目を変える必要がある。
「まず、あの髪を隠さないとダメだな。大事にしているかもしれないけれど、切った方が良い。服は、こっちの街で肌が隠れる服を買わないとな……あとは帽子か」
「そ、それでも、髪の毛の色を何とかしないとですね。染めるんですか?」
「素人の技術で申し訳ないが、理髪店には頼めないから染料を入手してきて川の近くで染めるしか無いな。南の国行きの船に乗せた後は、自分達で何とかしてもらわんといけないけど」
「そうですよね。しかし、あんな小さい子を閉じ込めるなんて……」
アイクも拳をギュっと握りしめて苦そうに言う。
「今回は、今の年齢で救い出す事が出来るし、殺されないだけマシだったと思うぞ。閉鎖的な村や街だと、異物は排除される。あの子の親が世話をしに来ていたが、下手をすると、親の方が先に死んでしまい、あの子も餓死だ。最悪なルートを回避出来たんだから」
オレは背伸びをして、首をごきごき言わせる。
「何はともあれ帰宅だ。馬車の中も、眠れなくても休んだ方がいいぞ」
それぞれに頷きながらも、尻の痛みに耐えている。次に来る時には、クッションを持ってくるべきだな。
それから二晩かけて街に戻ると、一日休養を取る事にした。……尻を労わる為に。
オレは次の日は特に何も無いので、贅沢にもダラダラしていたが、女子3人は少年の服を買いに行っている筈だ。あの三人に任せておけばいいだろう。
今日はジャンクフードを食べる事に決めていたので、街の中心である、噴水広場に行く。ここは屋台がずらりと並んでいるので、ハンバーガーとポテトを買ってきた。白身魚の挟まったそれは、ザクザクとしてタルタルソースとよく合っていた。ついでに買ってきた炭酸水を飲むと、何とも沁みる。ポテトも揚げたてでサクサクとし、コンソメとよく合っている。
うーん、贅沢だ。
あと、やらなければいけないのは上司への報告かー。今回ばかりはちょっと気が重い。オレは、食べた紙などを広場のゴミ箱へ場へ捨て、教会へ向かった。
教会の荘厳なステンドグラスから落ちた光が、男神像を照らしている。
(すみません、少々報告が遅れました)
オレが石像に祈ると、何やら重い物がゴトゴトと落ちる音がした。
多分、いつも机に積んでる本だな。
上司は辞典のような分厚い本を、いつも机に何冊も積んでいるのだ。
((いや、冒険してたらそんなもんでしょ。セネカくんはマメにしてる方だよ))
上司の寛容な言葉の後に、今回の話を報告する。
((んん~。嘘を吐くのは良くないけど、必要な噓でしょ。経過はともかく、その後に正しい形が取れれば、それが正解だよ。少なくとも、今回の事で君を咎める気は起きないなぁ))
(そうですか)
((まあ、二重に嘘を吐く事に罪の意識を感じたのかもしれないけど、無実の子供が犠牲になっていたんだからね。天上からは手は出せないし、地上に降りた君にしか出来ない事だったと思うよ))
上司の言葉はオレの心を温かくした。
普段はざっくばらんだが、言い方ひとつとっても気持ちが軽くなる。この上司で良かった。
((人の道から外れなければ早々に罰せられる事は無いから安心して良いよ。あんま、気負わないようにね))
その言葉を最後に、通信を切る。
気負わないようにーーーーか。
何はともあれ、オレはやる様にやるだけだな。
それにしても3人で服を買いに行かせたが、変に派手派手しいものを選ばない事を祈る。




